第50回全日本大学駅伝競走大会関西学連出場大学選考会が西京極陸上競技場で6月10日、行われた。今年は出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに上位3校に出場権が与えられる。前評判では関学大、立命大を含め3強という声もあれば、京産大と他大学で3位争いという見方もあり、決して通過を確実視されていなかった。しかし、1組目から流れに乗ると少しずつリードを奪い終わってみれば2位通過。2年ぶりに両駅伝への出場を決めた。

集合写真
出場が決まり肩を組む選手たち

出場選手
1組目
畠中択実(2年=南部・和歌山)
坂口博基(1年=和歌山北・和歌山)

2組目
井本景(4年=高知工・高知)
市川佳孝(2年=中京・岐阜)
浦田昂生(1年=智辯学園奈良カレッジ・奈良)

3組目
日下聖也(4年=徳島科学技術・徳島)
西川和希(4年=滋賀学園・滋賀)

4組目
上坂優太(4年=比叡山・滋賀)
宮下朝光(3年=世羅・広島)
稲垣雄二(2年=草津東・滋賀)


 全大学10名が出場し、上位8名の記録をもって順位をつける。近年、京産大は序盤の1、2組がやや鬼門となっており序盤から優勝争いから脱落する場合が多かった。序盤の下級生がいかに粘るかが1つの焦点。1組目の和歌山コンビが切り込み舞台として流れを作った。畠中と坂口がともに先頭集団で5000㍍を通過。関学大、立命大といった上位候補の選手が1人ずつ、後方で苦しむ一方で先頭集団では唯一2人が残った。徐々に畠中が後退したが、坂口は先頭に食らいついた。ラスト一周の時点で4位につけていたが最後に1人をかわして3位に浮上。畠中も6位に入り、3位以内に入るという目標の上では上々の滑り出しだった。

1組坂口
公式レース初出場の坂口が健闘

1組畠中
畠中も中盤まで先頭でレースを進めた

2組には井本、市川、浦田の3選手が出場。強くなる雨とともに集団は徐々に崩れはじめ最終的には浦田のみが先頭集団に残った。序盤から好ペースで走ったこともあり、自己ベストを更新するタイムで組3着。市川、井本も後半にかけて粘りを見せて9着と15着に入り、前半は全体2位で終えた。

2組浦田
浦田が3位以下のチームとの差を広げる走り

2組市川
故障明けの市川は粘りを見せて後半に追い上げた

2組井本
予選会初出場となった井本。駅伝ではリベンジを果たす

ひとつの山場となる3組には主将の日下と西川の4年生が出場。序盤から西川、日下が先頭で集団を引っ張り、レースを作った。ラスト2000㍍になると西川が先頭に立ち、ロングスパート。先頭の人数を絞ることに成功した。苦手とするスプリント勝負では遅れをとったが、4着でフィニッシュ。日下も前の選手を拾いながら7着に入った。

3組西川
3年連続の出場となった西川。3度目の正直でチームに貢献した。

3組日下
主将の日下は苦しみながらも役割を果たした

3組を終えて立命館大に次ぐ2位。3位以内は確実と思われた。しかし、肝を冷やす展開が待っていた。4位につけていた関学大の石井と坂東が5000㍍を14分46秒というハイペースで集団を引っ張ると、調整不足の宮下と稲垣が徐々に後退し苦しい走り。上坂も調子が上がり切らない中で先頭集団から脱落。対象に関学大勢がこれまでの遅れを取り返すかのようにペースを刻み、もしかしたら追いつかれるかもしれないという不安がよぎった。レースが終盤に差し掛かると、宮下と稲垣は2人で互いにペースを作り、前を追って少しずつリズムを取り戻した。上坂もペースを上げて前の選手を猛追。上坂が5着に入ると宮下、稲垣が16着と18着。結局3人とも31分00秒以内に入り込み、関学大の猛追をかわし、3位の大経大からも逃げ切った。

4組上坂
昨秋より勢いが増している上坂。今回のリベンジは秋に

4組宮下、稲垣
宮下(右)と
稲垣(左)は次期エースとして今後の活躍が期待される

絶対的なエースは不在。強い雨風の影響でタイムも伸びやんだが、各選手が大きなミスなく走りきったことが2年ぶりの2位通過という結果に結びついた。絶対的なエースを要した関学大は、序盤の遅れが響き敗退。層の厚さが明暗を分けた。3組を走った西川、2組を走った浦田がチーム内2番目、3番目のタイムをマーク。気象条件やレース展開が異なるため単純な比較はできないが、4組目とそん色ないタイムで走り、上位選手との差が少ないことを証明した。1,2組の選手も流れを呼び込んだ。

出雲駅伝の出場は2年ぶり26回目、全日本大学駅伝の出場は6年連続46回目でいずれも単独チーム最多出場回数を誇る。本戦では関西ナンバーワンと打倒関東を目指す。

結果
1位 立命大 4時間03分33秒50
2位 京産大 4時間06分48秒49
3位 大経大 4時間07分20秒60
4位 関学大 4時間07分52秒58
5位 龍谷大 4時間11分34秒23

全120選手中
全体5位 上坂 30分12秒93    
全体20位 西川 30分38秒92
全体21位 浦田 30分39秒60
全体25位 宮下 30分48秒70
全体30位 坂口 30分55秒83
全体31位 稲垣 30分59秒57
全体36位 日下 31分10秒29
全体43位 市川 31分22秒91
全体58位 畠中 31分43秒23
全体69位 井本 32分07秒16

コメント
日下聖也
「昨年は関東以外の地方勢に負けて低迷をしてしまったから、去年、一昨年の反省を活かして関東勢と勝負したい。今回は立命館に負けてしまったけど京産は関西ナンバーワンを取らないといけない。個人的にはふがいない走り。キャプテンとして自分の走りをしないとついてくれない。1、2組の選手も頑張ってくれてチームの団結力は4年間で一番いいように感じる。夏合宿で走り込んで秋に仕上げたい」

上坂優太
「関西インカレが終わってから足に痛みが出てしばらく(練習強度)落としていた。そこから急に動き出したせいで背中に痛みが出て3日前まで調子が上がらなくて、なんとか合わせた感じ。悪いなりにはまとめれたし、秋にはもっといける。西川をはじめ3組目までの選手が走ってくれたので余裕を持って走れたけど自分自身の走りは悔しい。今年はチームとしてよくまとまれている。小室さんも選手にあった練習を組んでくださるし、練習の意図も教えてくれるから成長を感じることが出来る。本戦では13位あたりが目標。秋の丹後駅伝は優勝したい」

西川和希
「3年目にしてチームに貢献出来てやっと、という感じ。ラスト2000mでスパートをかけたけど思ったより離れてくれなかった。自分自身も動いていたけどスピードがなかった。本戦では自分の全力を出し切りたい」

井本景
「チームに迷惑をかけてしまった。チームとして全日本を走れるからリベンジしたい。関東勢と勝負して、関西一位をとる」

宮下朝光
「3位以下だったら自分たちの責任。2位通過の知らせを聞いたときはほっとした。2,3週間前に体調を崩してそこから調整練習も離れていた。後半稲垣と二人で走って最後に関大を抜けたのは3年の意地。今年は出雲にも出れるから2年前のリベンジをしたい」

稲垣雄二
「ラスト4組としてしっかり走りたかったけど不甲斐ない走りになってしまって、チームに迷惑をかけてしまった。結果を聞くまでは3位に入っているのかさえ分からなかった。今回は1年生の頑張りがあっての2位だと思う。頼りない先輩で申し訳ない。全国では先輩として引っ張りたい。1年生が頑張ったおかげで自分たちも頑張らないといけないと思えた。全国ではしっかり走ってチームの戦力になりたい」

市川佳孝
「今回に関しては1年生のおかげ。本来なら僕たち2年生が30秒以上早いタイムで走らないといけなかった。そのせいで3位との差もぎりぎりだった。記録会でも1年生に負けないという気持ちでレースを大切にしようと思う。結果としては正直ほっとしている。京産大は関西では1位を目標に掲げているから悔しさ半分、ほっとした気持ち半分。春先に故障してしまい思うような練習ができない状態で迎えてしまったので実力不足が顕著に表れた。夏に走り込んで駅伝シーズンはチームに貢献できる走りをしたい」

畠中択実
「緊張があった。最初の位置取りをしっかりできていたけど5000m過ぎからペースダウンしてしまったのは課題。体力をつけてラストスパートで勝負したい」

小川耀平主務
「ほっとした。最終組でかなりヤバいと思ったけどほっとさせてくれて選手たちにありがとうと伝えたい。主務になって初の長距離だけの大きな大会。課題も見つかった。本戦では選手が自信を持って走れるように全力を尽くしたい」