6月11日に岩手県紫波町で行われた、第33回全日本学生選手権個人ロードレース大会。
今大会は9月に開催される「ツール・ド・北海道」大学出場推薦枠を争う最後の大会となる。

1周9,4キロのコースを15周、計141キロの戦いとなる。
昨年まで使用されていた長野県木祖村奥木曽湖周回コースががけ崩れにより使用不可能になったため、今年度は紫波町の周回コースとなった。そのため、昨年度までとはコースレイアウトが大幅に変更。走行距離が181キロから141キロに短縮され、アップダウンも平坦基調の距離が伸びるなど、登りを得意とする京産大の選手には少し不利なレイアウトとなった。

どんよりとした厚い雲が空を覆う中、選手がスタートラインに並ぶ。
昨年のこの大会、準優勝の安田京介(4)が最前列の真ん中に位置取る。
肌寒い6月の岩手県紫波町にスタートを告げるピストル音が鳴り響くと、一斉に選手がスタートした。
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時折笑顔をこぼす前回準優勝の安田


大会前日、秋田謙監督による綿密なミーティングが行われ、今大会の作戦を選手たちに伝えた。
平坦基調が多いコースのため、集団が有利になる。そのため集団でのゴールスプリントが予想される。
ゴール前で勝負ができるように、スプリント力のある安田と曽我部厚誠(2)をエースに据え集団に置く。その他の選手が積極的に仕掛けてエースを勝負所まで温存するというものだ。

その作戦通り、1周目から中井唯晶(3)が逃げ集団に入ると、3周目には樋口峻明(4)と藤田俊輔(2)を含む7人の逃げ集団が形成される。
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周を重ねるにつれ徐々に人数が減っていき、最大2分20秒程度に広がった差も9周目には5名が逃げ、1分10秒程度まで詰められる。

10周目目にさしかかる直前、樋口が鹿屋大の選手を連れ2人で飛び出し、藤田を含む3名の集団と徐々に差をつけていくが、この逃げは10周目のうちにメイン集団に吸収される結果となった。
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飛び出しを図った樋口
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遅れる藤田グループ

11周目にさしかかるところで、すかさず吉岡衛(1)が仕掛ける。
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このアタックが吸収され、11周目から13周目までは日体大の選手が逃げるが、15周目にさしかかる頃には吸収し、大集団で通過。ここで中井が前方に位置取り、最終周回に入った。
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飛び出した中井に日大の選手が反応し、2人で逃げる。差は徐々に開き、メイン集団と20秒の差をつけたところで、この2人のどちらかが勝者となるのが確定的になった。
そこからはお互いけん制状態になり、ラスト数100メートル、中井が前を引き、後ろを振り返った瞬間に日大にかわされ、先行を許してしまう。
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ラストの登り、最後の力を振り絞り追うも、一歩届かず準優勝となった。
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ゴール直前、ハンドルを叩いて悔しさをあらわにする中井

その後ろから集団が続々とゴール、曽我部が9位、安田は14位でフィニッシュとなった。
準優勝という結果もさることながら、京産大は8人で出走し、全員が完走するという快挙を成し遂げた。
更に、このレースの成績により、ツール・ド・北海道に今年も出場することが決定。主将中井が掲げていた目標を果たした。

レース終了後、秋田監督は「選手は戦略どおりにレースを進めてくれた。最後に中井が逃げに乗ったということ自体がまず100点。結果的に負けてしまったけど、よくやった。全員完走というのは選手全員が細心の注意を払ってレースに挑んだということなので、これは最も誇って良いことだ」と胸を張って語った。
ツール・ド・北海道出場については「既に来年の北海道の予選に向けての準備期間も始まっている。毎年当たり前に北海道に出ることによって、北海道で戦えるチームになってくる。しかし、それはまた別の話」と、笑顔で答えた。

準優勝となった主将中井は「この大会でツール・ド・北海道が決まるのでチームの作戦通りに走ろうと思っていた。終盤抜け出して、日大の選手と逃げれば追ってこれないと思っていたので、逃げるところまでは綺麗に決まっていた。けん制状態から振り返りざまに抜かれたときは、しまったと思ったが、時既に遅しという感じだった。今年は個人では2位ばかりなので、次のインカレでは優勝を狙う。チームとしても、個人というより全員で強くなっていきたい」と力強く語った。

9位でゴールした今レース、エースの一人曽我部は「最後に集団の頭を取ることだけを考えて挑んだ、結果的に9位だったが、切り替えてここから始まるトラックシーズンに照準を合わせていきたい」と語った。

もう一方のエース、安田は「今日の出来は悪くなかった、だんだんちょうしが上がってきているので、ここからはロードに絞り、9月頭に行われるインカレで優勝を取りに行く」と力強く意気込んだ。

序盤から中盤にかけてレースを作った樋口は「アタック合戦の隙を見て飛び出したら上手く決まった、個人的にはペースがもっと早くても良かったので、追いつかれそうになってから飛び出したが吸収されてしまった。これからは切り替えて去年優勝したトラックの連覇と、青森で行われる全日本での好成績を狙う」と応えた。

もう一人のペースを作った立役者、藤田は「最後のほうは着いていくのが精一杯だった、インカレではもっと力をつけてしっかりと結果を残したい」と語った。

ツール・ド・北海道出場を決めた京産大。更なる高みを目指す彼らの活躍から目が離せない。

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