年末の富士を舞台に行われる全日本大学女子選抜駅伝競走(富士山女子駅伝)が12月30日、静岡県富士宮市、富士市で行われた(7区間・43.8㌔)。京産大は1区を5位でスタートするとその後は粘り抜き、富士山に舞台が移ってから最高順位となる6位でゴールした。

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左から佐藤、北野、藪田、今川、橋本、信岡、棚池

 前日の記者会見で伊東輝雄監督が掲げた目標は『8位入賞』。10月の全日本大学女子駅伝では4位に入った実績があるが、「あれはたまたま」と気を緩めずに今大会に挑んだ。全日本大学女子駅伝で1区区間賞の橋本奈津(1年)と4区3位の信岡桃英(1年)が故障明け。決して万全とは言えない台所事情だった。

 1区の橋本は故障により3週間ほどのブランクがあり体力的に不安があったのだろう。前を行く松山大と立命大のペースに付くことはせず、第二集団でレースを進めた。得意のラストで順位を上げ、トップと25秒差の5位。復帰レースを無難にまとめたが、「(全日本の)区間賞で自分の中で満足してしまったところがあった」と今回の結果に悔しさを滲ませた。DSC_0435
全日本に引き続き1区を務めた橋本

 続く2区は延々と下り坂の続く区間。新チームを引っ張る藪田裕衣(3年)が務めあげた。タスキを受け取るとすぐさま3位集団に追いつき並走。3㌔まではリラックスして走ることが出来たが、集団のペースが上がると徐々に引き離されてしまう。脚にも下り坂を走ったことによるダメージが蓄積し、苦しい走りに。それでも崩れることはせず6位で第二中継所へ入ってきた。DSC_0481
キャプテンとして新チームを引っ張る藪田

 最短区間の3区は北野詩織(1年)。伊東監督は「(5秒後ろの)東農大に抜かれるな」と送り出した。練習を積めていたため、自信を持って走り出した。積極的に前を行く大院大を追い、少しずつ差を詰めていった。しかし、後半に差を広げられ、東農大にも1秒差にまで詰め寄られたが、抜かれるなという指示を守って順位をキープした。「スピードでは負けてしまったけど、レースの内容は悪くなかったと思う」と手ごたえをつかんだレースだった。
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3区北野から4区今川へのタスキリレー

 4区の今川綾菜(3年)は駅伝で安定して結果を残してきた選手。レースを経験するにつれ、緊張や不安といったものが減ってきたのが結果を残せている要因だと語る。東農大とほぼ同時にタスキを受け取ると並走を始める。好調というわけではなかったが、しっかりと東農大をマーク。その後、振り切るも5位の大院大との差を広げられ、「役割は果たせなかった」と振り返った。

 最長区間の5区を任されたのは棚池穂乃香(2年)。距離が11㌔近くあるコースだが、12月の記録会の10000㍍で好タイムを出したことから不安なく走り出すことが出来た。前を追うことだけを意識してペースを刻むと50秒以上先にスタートした、大東大をかわすと続いて松山大を追い抜き、4位に浮上。中継時点ではトップの立命大との差を1分近く詰めて区間賞を獲得。舞台が富士山に移行してからは京産大として初めての区間賞となった。区間賞獲得に「素直にうれしいし、良い自信になる」と元気よく答えた。
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区間賞で驚異的な追い上げを見せた棚池

 駅伝ラストレースとなった佐藤季実子(4年)が担った区間は6区。「大好きなチームで走る最後のレース。全力で楽しむ」と意気込んで走り出した。前を行く大院大が見える位置でスタートしたということもあり、ひたすら前だけを追って走った。中継所手前で松山大に抜かれるも大院大との差を1秒にまで詰め、3校での3位争いに持ち込んだ。「悔いはない」。駅伝ラストレースを晴れやかな表情で締めくくった。
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佐藤はラストレースで後輩たちへ思いを託した

 最終7区は8㌔超という長丁場に加え、延々と坂道を上る難所。6人の思いの乗ったタスキを信岡が受け取って走り出した。11月のFUKUIスーパーレディース駅伝で8㌔の区間を走っており、距離に対する不安や緊張はなかったというが故障明けということもあり、上り坂に好印象を持てなかったようだ。小柄な体からは想像もつかない力強い走りで中盤までは3位争いを演じるも徐々に後退し単独5位に。ゴール直前で日体大にかわされ6位になったが、危うげない走りを見せた。
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故障明けながらも厳しい上り坂を走った信岡


リザルト
1区(4.1㌔) 橋本奈津(1年) 13分07秒 区間5位 通過5位
2区(6.8㌔) 藪田裕衣(3年) 22分14秒 区間11位 通過6位
3区(3.3㌔) 北野詩織(1年) 10分38秒 区間10位 通過6位
4区(4.4㌔) 今川綾菜(3年) 14分38秒 区間5位 通過6位
5区(10.9㌔) 棚池穂乃香(2年) 36分29秒 区間1位 通過4位
6区(6.0㌔) 佐藤季実子(4年) 20分18秒 区間5位 通過5位
7区(8.3㌔) 信岡桃英(1年) 31分13秒 区間10位 総合6位

 故障者もおり万全とはいかない状態の中でもこの順位。「チームとしても地力がついてきた証拠だと思う」と女子のペースメーカーを務める平木雄翔は語る。3年前の18位から8位、8位ときて6位。部員数が20人に満たないが上を目指す戦力は揃いつつある。
 冬季練習ではもう1度基礎を固めなおす方針。「このままいけば優勝できるほど甘くないし、自分たちの弱さをしっかり克服することが大事」と伊東監督は語る。
 9月に行われるユニバーシアード(大学生の世界大会)では橋本が1500m、薮田が3000m障害、棚池がハーフマラソンでの出場を狙っており、練習は厳しさを増しそうだ。北野も1月にハーフマラソンに出る予定で、「3月のまつえレディースで上位を」と意気込む。佐藤は「今回卒業するのは私だけ。来年以降が楽しみなチーム」と期待を寄せている。
 勢いある下級生と安定感のある上級生の力を合わせ次はどこまで頂点へ近づくことが出来るだろうか。まずは全日本の順位を上回る3位がターゲットに。そして勢いそのままに頂点まで駆け上がりたい。