関西学生サッカーリーグは、第10節は大産大と対戦した。リーグ前半戦を4位で終えた京産大は、勝ち点で並ぶ大産大との対戦となった。後半1-1に追いつかれても、美濃部のゴールなどで相手に流れを渡さず勝利。勝ち点を17まで伸ばした。次節は立命館大と対戦する。

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勝ち越し点を挙げた美濃部。スタンドへ一直線。

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3点目に貢献した木匠

京産大3(1-0)1大産大

スタメン
射庭康太朗
二宮竜平
金大貴
伊井野克也
田中敦稀
米丸智幾
坂本樹是(→62’松井慎太郎)
前田悠斗
杉本義紀(→56'守安陸)
美濃部寛樹(→81’竹之下修弥)
木匠貴大

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前田(左)のゴールを喜ぶ金(右)

 天に上げた拳は三人、計三回。先制点―。勝ち越し点―。終了間際のダメ押し点―。全てが効果的な得点だった。
 この試合、スタメンを3人入れ替えてきた。杉本は今季初スタメン。田中、前田はスタメンに復帰となった。前半立ち上がりは、攻めあぐねていた。前線にボールを収めたかったが、相手の厳しいマークにあい行く手を阻まれる。また、ディフェンスラインで回していてもビルドアップが出来ずトップ下、ボランチでボールを奪われるシーンが目立った。決定機は30分までFKやCKなどセットプレーだけだった。だが、30分左サイド深くで木匠、美濃部が絡んで、中央の坂本へのラストパス。これが通れば一点ものだった。徐々に流れの中でつかめてきた。両者拮抗。この状況を破ったのは前田の右足だった。PA外からのミドルシュートが美しい放物線を描き、ゴールネットに吸い込まれた。前半はこの一点を守り切ってハーフタイムを迎えた。
 後半、立ち上がりは京産大ペース。ボランチ、CBともにセカンドボールを拾い自分達がポゼッションをしていった。それでも48分。左サイドを強引にくずされるとシュートまで持ち込まれる。これはなんとかDFが防いだ。攻め込めれるシーンはあったが、64分には、中央ゴールから30m付近からのFK。キッカーの美濃部は、必殺の無回転シュート。これは相手の好セーブにあって得点とはならなかったが、フロントコートでのプレーが多くなる。順調に試合を進める。隙あれば一点。そのような考えだっただろう。守安、松井の投入から読み取れる。しかし、そのリズムを崩されたのは28分。ミドルシュートを決められ失点。ゲームプランは崩れた。修正。イレブンは落ち着きがなくなる。全てが後手に回りだした、この逆境をはねのけるのは得点しかなかった。
 42分。木匠が右サイドから狙ったシュートは相手GKに阻まれる。それにいち早く反応したのは美濃部。体を投げ出して無人のゴールへシュートした。ゴールネットは揺れた。渇望していた得点が決まり再び一点リードで残りロスタイムを含め5分。もちろん相手も勝ち点を取るために必死だ。前への人数が増えてくる。それを逆手に取るかのようにカウンターを狙う京産大。それが結果になる。自陣から相手DFラインの裏にでたルーズボール。木匠が寄せていく。相手は焦ったのか、GKとDFが重なった。DFはGKがPA内に構えてると思いバックパス。しかし、そこにはGKはいない。ボールは転がり、ゴールイン。欲しかった終了間際に得点が入った。3-1で審判の笛。勝ち点3をとり、後半戦好スタートを切った。

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後半も果敢にシュートを狙う前田


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得点後喜ぶイレブン。得点し喜ぶ前田(右から二番目)

 「この夏のプレーを見て、前田はBチームに落とそうとしていた。」こう語るのは古井監督。プレーに精彩を欠き、合宿を終えて悩んでいた。個人的に話し合いなどを重ねて、夏の練習を見て決断を下そうとした。それがショック療法となったかは定かではないが、前田は本来の持ち味をプレーを取り戻しつつあった。ボランチはこのチームにおいて攻守の柱だ。攻撃ではスイッチの役目、守備では数的有利を作りボールを奪う。「守備もしないとならない。」と前田。今日もCBの間に入ってビルドアップをする。守備では相手の攻撃の目を摘む。カウンターをくらうときはわざと、ファウルをして味方が自陣に戻る時間を作る。攻撃では、起点となり長短のパスを使い分けた。先制点の時は、ペナルティエリアのすぐそば、坂本からパスをもらった。ボールを止め相手のGK、DFの位置を確認する時間はあった。「練習をしていた。」と、右足を振り抜く。コースを狙ったシュートは相手Gkの横を抜けてゴールへ。ボールは弧を描いていた。見るものを圧倒した。決まった瞬間、何かが解放されたかのように見えた。これで吹っ切れたのだろう。それは最高の結果とともに―。天に掲げたこぶしの想いは強かった。さあ、いこうインカレへ。7番とともに―。

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先制点、ミドルシュートのシーン

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今季初のスタメン、杉元。

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アシストをした坂本

古井監督
「勝たないといけない試合だった。こういう試合を一つ一つ積み重ねて、(残り)13連戦を乗り切りたい。前田はBチームに落とそうと思ってた。合宿の終わり方がひどくて、京都帰ってきたときに少し話をした。ただ、そこから自分で何をすべきか判断して、死にもの狂いでやってくれた。ボランチは人数が多いが、それに対してここは俺のポジションだっていう気持ちが伝わってきた。3点目についてはおまけみたいなものだけどね。選手たちには常に、11月の終わりには自分たちがインカレに常にイメージを持てと言っている。来週、6連敗中の立命と対戦するが、攻めきって勝ち点3を取りたい。」


小笠原唯志コーチ
「決めるときは決めてほしかったね。本来は後半のフォーメーションでスタメンからやっていきたかったが、今日は途中から本来のポジションだった。しかし、トーンダウンしてしまった。もっと攻撃的にいきたかったのに。立ち上がりはやっぱり難しい。田中とか、別に個人がそういう判断をすればええとおもうけど、果たして、それでいい流れになったのか?というと疑問。(得点については)いい攻撃だった、一点目は。ミドルシュートは打てと言っていたので。二点目は少し理想とは違ったかな。やはり、もっとバイタルエリア内で連動してくずしていかないと。クロスボールも入れようとするのはいいけど、中の人の人数とか質も大切。背後を狙う動きに対しても、もっと相手がしんどくなるような、ボールを入れないと。ボランチはもっと動かないと。あとは守備の時、相手に一発で交わされた時の対応が少し中途半端。ただ、よかったのはこういった試合でも我慢できるようになった。一点追いつかれても、ひっくり返されなくなった。とったボールを自分たちでどう支配するかが、鍵。怪我で何名あ入れ替えてはいたが、このレベルの戦力で対戦するしかない。」

木匠
「前半暑すぎて。前半は落ち着かず、ボールのはじきあいみたいになっていた。後半、追いつかれた時は、時間ない時でここで負けてたまるかと思ったし、負けたらもったいないと思った。今日は届かないと思ったぼーるについては、体を投げ出してシュートした。2点目のシーンとか。3点目は時間もなくリードしていて、走った。守備も頑張った。」

美濃部
「決定機で決めれるところは決めていきたかった。2点目は自分がキツイにフリックしたボールで、それだから反応はできた。MFのまえの選手はどこでもこなせる選手が多いから、ポジションチェンジもできるし、パワーやスピード、どこにいってもボールに絡める。流動性があると思う。ゴールに向かうプレーもできる。失点した時はとてもバタバタしてた、落ち着かせることを意識した、焦ってまえにオープンなボールを出すと、相手にとられて相手の方が勢いもあってやられると思った。FKのシーンで、シュートを打ったらGKからナイスシュートと言われて握手をした。FKの位置は中央真ん中で、もう少し左右にぶれてほしかった。あの位置でファールしたら得点されるぞ。ということを示したかった。自分たちが夏にやってきたことは正しかったぞ、ということを証明するには、勝利しかないと思う。結果を大切にしていくのと、後ろはしっかりと0で抑える。前は得点を撮る。自分たちのサッカーで、リーグ4位、インカレを目指したい。コーチから10点は取れと言われてるの、目指したい。」

前田
「試合も出れなくて、東山高校の同期が全国で活躍していて悔しかった。古井さんとも話をしてそれをきかっけにできた。練習でもスタメン組に入って、最近の試合は全部スタメン組だった。おがさんが、ミドルを打てとアドバイスをいただいていたので狙った。練習はしてた。守備もやっぱりしないとチームに貢献できない。全日本や、プロ相手に得点している東山高校の同期もいる。もっとチームを牽引できるようにしたい。」