関西学生サッカーリーグ第7節、京産大はヤンマーフィールドにて大阪学院大学と対戦した。木匠の3試合連続得点で先制をすると、前半終了間際にも木匠のシュートが決まり、2点リードで前半を折り返す。後半は、猛攻にあうと、69分に失点。だが、DFラインが大きく崩れることなくリードを守り、勝ち点3を獲得した。ここ4試合、上位陣との対戦で2勝2分けの負けなし。残りリーグも4試合。下位チームとの残留争いで一歩リードした。


DSC_0511
二点目をあげて、喜ぶ木匠(左)

 物語の主演はエースの木匠貴大だった。10番の2得点は、残留争いをする京産大にとって、降格圏を脱する希望の得点になった。一点目は、「感覚だった」と木匠。左サイドの竹之下から右サイド守安へピンポイントサイドチェンジ。守安が敵陣深くまでえぐり、クロスボールを中へ。待ち構えていた木匠が頭で合わすとボールはゴールの中へ。さらに、前半44分。FKの流れから、DFラインの裏に出されたパスに反応。右足で状態を崩しながらもゴールに流し込んだ。「あれくらいの実力派もっている」と古井監督は評価。エースとして、チームを勝利に導くゴールを奪うことができている。
 京産大は関西学生サッカーリーグ前期を京産大は最下位で終えた。後期開幕戦も敗れ、勝ち点を取ることができない日々が続いた。逆襲の物語は後期4節の関学大戦から始まった。関学大に0-0で完封すると、その次の試合関大には1-1の引き分け、阪南大学には1-0で対阪南戦に6年半ぶりの勝利。二宮竜平が阪南戦後、「この三試合はつながってる」とあらわすように、物語のように続いていた。
 リーグ3位の大院大に対しても、2012年の春以来の勝利。関西学生サッカーリーグも残り4試合。近畿大学、大阪産業大学、びわこスポーツ成蹊大学、甲南大学との対戦が待っている。いずれも、9位以上のチームだ。「次もゴールを狙いたい」と木匠。上位との対戦で得た自信を胸に、4戦全勝を目指していく。物語には、苦しい場面もでてくるだろう。それを乗り越え、笑顔の最終話を迎えたい。

DSC_0100
一点目の得点シーン。ヘディングシュートが決まった

DSC_0504
二点目、体を倒しながらのシュート

京産大2(2-0)1大院大
得点者
8分木匠貴大(アシスト守安)
45分木匠貴大(アシスト前田)

スタメン
GK
射庭康太郎
DF
坂手優雅
二宮竜平
橋本侑紀
米丸智幾
MF
前田悠斗
竹之下修弥
守安陸
木匠貴大(→90+2分久保吏久斗)
松田岳
FW
高橋佳(→57分岩本泰士)

ベンチ
寺地一貴
湯田京志
後藤亮太
細見航己
田中敦稀
久保吏久斗
岩本泰士


DSC_0097
守安のアシストのシーン

試合展開
 前節試合中に負傷した児玉に代わって、今節は一年次生の高橋が先発出場を果たした。そのほかの布陣は変わらず、京産大のフォーメーションは、4-4-1-1。大院大は、4-4-2のような形。前節までは力の差を考えて、前からボールを取りに行くことはなかったが、今節は最前線に位置する高橋、その後ろの木匠が相手DFに対してプレッシャーに行った。プレッシャーにいくことでスイッチを入れ、後ろの選手が連動して、ボールホルダー、サイドに位置している選手に激しくプレッシャーにいった。ダブルボランチの前田、竹之下はどちらかが、相手のサイドにいる選手に対して、どちらかがプレッシャーをかけ、もう片方は中央に構えた。相手の攻撃は前半、長いクロスボールで長身FWに合わせるスタイル。だが、京産大DF陣も空中戦を多く制することで、そこまで危ないシーンは見受けられなかった。
 京産大の攻撃は、DFラインでそこまでつなぐことはなく、FWの高橋、木匠めがけてクリアをし、相手ゴールに襲い掛かる。相手が嫌がる5分5分のボールを入れることで、ワンチャンスでゴールを陥れようということだ。試合が動いたのは、8分。右サイド、ハーフライン付近の竹之下から右サイド守安へサイドチェンジ。守安が積極的に仕掛け、ペナルティエリア内に侵入。右サイド深くまで、ボールを運ぶと、中へセンタリング。木匠が頭で合わせ京産大が先制する。3試合連続の先制点だ。得点直後CKからピンチを招くが、難なくしのいだ。前半25分にも波状攻撃を受けるが、橋本が体を張ってゴールを守った。
 追加点は、前半終了間際。右サイドでFKを得る。前田がボールを中にいれるも、相手DFに跳ね返される。その前田のところにボールが戻ってきて、再び中にいれる。ボールはGKとDFの間、木匠がこれに反応し、右足で流し込んだ。ゴールとともに、前半終了。雰囲気がよいまま、後半に臨んだ。
 だが、前半とは全く変わったチームとなってしまった。相手の攻撃がスタイルを少し変更してきた。ボールを空中戦んではなく、地上戦でつなぎ始めた。ダイレクトパスを織り交ぜ、守備が後手に回り始めた。前半は、ボールを深くで奪うと、前線にロングボールがいけば、なんとか、前線二人が競って、マイボールにしていた。だが、後半は、前線のポジショニングがよくなく、相手ボールにされる。フロントコートでプレーする時間は少なく、自陣のコートでプレーする時間に追われた。京産大にとっては少ないチャンスのなかで、58分。守安の積極的な仕掛けから、シュートを放つ。チャンスらしいチャンスはこれだけだった。あとの時間帯は押され気味。そして、相手の攻撃に耐えきれず、59分に失点。相手の勢いに負け、ここからDF陣が崩れないのが今、勢いにのる京産大。射庭の横っ飛びのセーブ、前田の体を投げ出したプレー、二宮の競り合いに負けない、橋本のタイミングの良いインターセプト、坂手の1対1でも負けない、米丸の相手高身長の選手に対する競り合い。DFラインが体を張って守り切った。粘り、2-1で勝利をおさめた。

前半と後半でまったく違うチームとなって知った。理由は明確だ。フロントコートでプレーする機会が少なかったこと。マイボールにすることができなかったこと。それは、FWのポジショニングと、FWにめがけて蹴るロングボールの質だ。FWのポジショニングとは、どこにボールがあるのかで見極めなければならない。FWは空中戦に強い、岩本と木匠のツインタワーがいる。例えば、自陣深くにボールがある場合は、どちらかか片方が一歩ポジションをさげてもいいだろう。ボールをもらいにいき、時間を作ってあげる。また、少し高めでボールを奪ったのであれば、相手のDFラインの裏を狙ってほしい。木匠はフィジカルで負けることはないし、岩本はスピードで勝てる。なにより、リードしている場面では、たとえ、ボールが相手ボールになったとしても、DFラインの裏にボールをけりこめば、相手DFはラインを下げざる負えない、そうすると、相手のFW,MFも全体的に後ろに下がることになり、波状攻撃を受けることは少ない。ただ、それも状況判断だ。ボールをもって時間を作るべきなのか。攻め入るべきなのか。そういう状況を判断して、選択してほしい。もちろん、サイドからロングボールをFWめがけてけるときもある。状況は多様にあるが、ボールの位置、時間帯など、様々な要素を見極める必要がある。

 勝手兜の緒を締めよー。勝ったときだからこそ、何をすべきなのか。完璧な試合の内容だったのか。乗りに乗っている時だからこそ、さらに高みを目指すためにも。修正点から目を背けてはいけない。残り4試合。残留のために、勝ち点を1つでも多く、1つでも上の順位でシーズンを終えたい。

DSC_0649
久しぶりの出場 高橋

DSC_0668
守備にも貢献した前田
コメント
古井監督
「後半だけしたら負けてたと思う。これまで積み上げてきたものをこの試合で崩すのか、(残り試合の数も考慮すると)この試合の重要度は高かった。それをわかったうえで、全員で勝ち点を取りに行けた。後半、失点して、相手が前係に来た時にどうするのか。状況判断が重要になる。後半1失点して、状況判断で、攻めていくのか、それともボールをキープするのかの部分も高めていく。状況判断不足。(木匠が二得点に関して)あれくらいやってもらわないと困る。彼が得点すればチームの覇気もあがる。今日会ったことでおごりや、慢心などを持たず、いきたい。リーグ終わって、全部勝つつもりで。ここまでの結果は全て予定通りの結果が出ている」

小笠原ヘッドコーチ
「とりあえず勝てた。まだ、もうちょっと足りない部分もある。(相手がクロス多めだったが)それを消す練習はしてきた。前半、裏を取られる場面があったけど、なんとかできた。逆に、こちらの攻撃は相手のDFラインの裏を一本でとること。相手のくさい(=嫌がる)ボールを入れていきたいが、トップ瀬野選手の受け方がよくない。こちらは守備したら強いけど、その分、攻撃が弱くなってしまう。ロングボールの攻撃しようといえば、ロングボールしかしなくて、もう少し、ショートカウンター入れたり、ロングボール入れたりで、マルチな判断が必要。そこら辺を直していきたいと思う。FWの選手のポジショニングが、守り一辺倒のチームの位置にいるので、どうしてもマイボールにできない。ビデオ見て、反省しないと。守備は安定してきたけど、相手からとったボールをまた相手に取られて、カウンターを受けることがある。もう少し、全体のアベレージをあげていかないと。負けない気持ちをもって、今後、挑む。内容はそこまでよくなかった。(次節から下位4チームとの闘いなので)もっと攻めたり、もっとボールを持てたりする。守備をしっかりとして、いかに効率よく攻撃できるか練習。とったボールに対して、味方選手が気を利かしていくこと。それは社会でもおんなじこと。もっとチームとして、グループとして、部署として、人として、気が利くような。そんな人間にならないと」

二宮竜平
「コンディションはよかったが、出来はこの前の3試合より悪かった。いい感じで前半2点取れて、後半ぐだったけど、悪いながらもおさえることができた。満足いくような内容ではなかったが、流れ悪くても崩れることはなくなった。2点とってからのリードする経験があまりなかったので、守りに行ってしまった。内容は悪かったが、2点取って余裕や自信がうまれた。最初はブロックを低くして戦おうとしたけど、DFラインを上げて、相手のFWをボランチに押し上げようと思った。試合最初は様子見で、基本的には流れのなかで、そういうのは判断していく。サッカーコートを3分割したとき、ミドルゾーンらへんで守るようなイメージ。一番後ろのゾーンで守るのは前節まで。(相手の攻撃に関して、)相手の3番の選手も大きかったが、空中戦で負けるようなことはなかった。むしろ、こちらのDF陣の特徴見ると、空中戦のほうが有利。相手もやりにくかったと思う。こちらは競り合ってセカンドボールを確実に拾うことは意識していた。後半は、相手におしこまれることもあったし、ポジションチェンジとかで、惑わされた。(今日の主審は結構、ファウルを取る人だったか?)そこら辺の基準も見極めながらプレーした。失点をした時は、今きついけど、最後まで粘るとか、焦ることなくプレーできた。(木匠が3試合連続得点だが)あいつ自身も苦しい時があって、今日もいい時間帯で決めてくれた。いつか絶対にやってくれると思ってたし、それが最近。彼が得点を取れて、失点も減っているので、結果に結びついているのだと思う。次からは下位チームとあたるが、下位だからといって、やり方を変えることはない。今まで以上にしんどいゲームがでてくる。今日も前半リードして、守り勝って。ゲーム内容的には完璧じゃ位から、つきつめて、きついゲームこそ、後ろが踏ん張りたい。」

木匠貴大
「一点目に関しては、立ち上がりから狙っていた。センタリングから、練習通りの形で、あとは感覚で。二点目は、FKのボールが相手にひっかかって、キッカーにリターンパスがきて、そのキッカーからのボールをうまくあわせた。相手のDFラインがボールウォッチャーになることが分かって猪田で、それの裏を狙おうと思っていた。難しい態勢だったが、倒れこみながらシュートを打ったほうが、ボールをふかずに、流し込むだけだった。この三試合、一点だけしかいれてなかったので、2点目を今日狙っていた。2点目はいれば、一点取られても追いつかれない。前半で2点取って、後半3点目も狙っていた。後半はしんどい戦いだったが、ある程度余裕をもって戦えた。今までの試合は、前からプレッシャーにいっても、かわされるとわかっていたので、下がっていたが、今日は積極的にいった。後半は守りに行って、しんどかったから、もう少しゴールまでのイメージをもたないと。相手は結構焦っていて、アフターのファウルとかあったとおもう。自分も累積3枚もらっているので、累積警告で出場停止にならないように気を付けたい。無理なところは無理と割り切って、無駄なファウルはしないようにしたい。最後まで全力で戦って、下の代にもつなげたい。近大戦は前期累積で出場してなかったので見た目でしかわからないが、点を取りたいと思う。」

前田悠斗
「たかひろくん(=木匠)をいかせるようにチームとして、意識した。2点取って引いてしまった。1点取られて関大戦のようにならないようにしたかった。声を出して、チームがつらい時に士気を高められるようにしてる。マイナスなことは言わないようにしてる。球際で負けないようにしてるし、どこのポジションでやっても球際だけは負けない。それに自身もある。下級生から見て、上級生は、ニノ君(=二宮)中心にチームがまとまってる。前半15分はロングボールをける。前半は0失点を息していて、それができているので、継続していきたい。」

守安陸
「結果が残せなくて何を自分がすべきか迷った。アシストがほしくて、今日はゴールよりアシストを狙った。仕掛けることも意識した。仕掛けてからのクロス。今日のアシストは練習通り。竹之下からのサイドチェンジをもらった。練習で、タカ(=木匠)もヘディングシュートの練習していたし、決めてくれた。後半の仕掛けてシュートに持ち込んだシーンも練習通りで、仕掛け左足のシュート。シュートの精度が低かったが。左足の精度も高めたい。ここ数試合強豪と戦って守備の意識もいれていく。チームを支えながらプレーしたい。後ろの優雅君(=坂手)が、ボールを取ってくれるので頼もしい。次は近大戦で、勝ち点で並ぶチームなので、順位も入れ替わることもるるし、アシストを狙っていきたい。」