《連載コラム》卒部おめでとう!眞野組ありがとう!
『前者の戯言』ラグビーシリーズ⑮
〈眞野組、卒部おめでとう!〉
涙が似合う、男たち。「眞野組」は、そんなイメージだ。
昨季は、開幕試合で同志社に31-33と、2点差の惜敗。ラストプレーでの逆転負け。夏の菅平合宿から…いや、新チーム結成から。あの試合に男たちは全てを懸けていた。
記憶を辿る。9月25日の宝ヶ池球技場。ロッカールームから出てくる23人の表情が忘れられない。悔し涙があった。だが、負けても前を向く。それが男たちの使命であり、スポーツの醍醐味だから。
純粋に思う。「赤紺」の心に火をつけるのは、いつの時代もライバル同志社だ。激しい意地のぶつかり合い。だからこそなのだろうか、同志社戦は観客が倍増する。
「赤紺」と「紺グレ」の熱い闘いを現地で感じ、元気をもらえるのだろう。勝って喜ぶのは当然のこと、負けても懸命な姿に勇気がもらえる。それは、どの世界を探しても到底見つからない「ひたむきさ」があるからだ。
天理大にも敗れ、連敗スタート。嫌なムードが漂った。
それでも前だけを見る。「ここから全部勝てば、大学選手権には出られる。そこで、もう一度、自分たちの信じてきたラグビーを見てもらいたい」副主将のFL李智栄が胸を張って言い放った。
この時点では0勝2敗。もし、次に一つでも負ければ大学選手権出場すら怪しい状況になる。それでも、前しか見ていなかった。芯の強い選手たちだ。ケガを恐れず、壮烈なタックルで挑む。
笑顔でインタビューに応じた最後「試合中、負けるなんて一度も思ってプレーしたことありません。最後の1秒まで」と、きりっと真剣な眼差しで語った。不安なんて、そんなもの、この男にはなかったのだった。
そこから破竹の5連勝で、大学選手権出場の切符を勝ち取る。有言実行を果たしたフィフティーン。似合わない言葉がないぐらいに格好よかった。
「好きだからこそ頑張れる」。FB森田が、よく口にした言葉。半年間留学した、NZからの贈り物は「ラグビー愛」だった。誰もが心からラグビーを楽しめる環境。今でも思い出すという。
迎えた大学選手権。相手は過去6戦全敗だった明治大学。前半にミスが重なり、あっさりと失点。0ー12となったときは、見ているだけの自分だが素直に焦った。
だけど、ここからが違った。モールを形成して押し込んでいき、自分たちの形で1トライを返す。7-12になったとき「根拠のない自信」が舞い降りてきた。「勝つ」と心が自然に思っていた。
歴史に残る。だからこそ、写真に残さなくては。そう考えて構えていると、赤紺たちがパスとランでフェーズを重ねてきた。レンズ越しに段々と大きく見えてくる。
80mを激走。坂本英人のトライシーンでは、ズームが要らなかった。伊藤鐘平のタックルで奪ったボール。拾った瞬間から、連写を開始した。
「きた!きた!あやと、きた!」周りのカメラマンさんには申し訳ないと今でも思っているが、冷静ではいられなかったのだ。本当は飛び上がりたいぐらい興奮する光景だった。
『京産大26-22明治大』
あの瞬間に生まれた「京産コール」。あの歓声は忘れもしない。
誰もが必死に涙をこらえた。だけど、溢れてくる熱いものを隠しきれない。「男は泣くもんじゃない」そんなことは大きなウソだと思わせてくれた。感情に素直になること。あの涙が教えてくれた。心が大きく動いたとき、胸を張って泣いていいんだと。
赤紺戦士も、スタンドの観客も。誰もが泣いた。負けで始まった涙。計り知れない悔しさがあっただろう。自分たちの力で「歓喜の涙」に変えた。まぎれもなく君たちは「勇者」だった。
感動をありがとう。卒部おめでとう!
《眞野組23人が4年間を振り返る》
〈眞野拓也(東海大仰星)〉
〈森田慎也(洛北)〉
〈李智栄(大阪朝鮮)〉
〈長田恒輝(洛北)〉
〈高原慎也(桂)〉
〈荒木偉孝(九州国際大付属)〉
〈細野裕一朗(京都学園)〉
〈蔡淳志(大阪朝鮮)〉
〈城間広志(大阪桐蔭)〉
〈図師裕太朗(浮羽究真館)〉
〈山本湧太(大産大附属)〉
〈山野将太朗(京都成章)〉
〈下良好純(東海大仰星)〉
〈絹川誠吾(洛北)〉
〈金将一(大阪朝鮮)〉
〈三木雄太(太成学院)〉
〈大西竜二(大産大附属)〉
〈平井暁大(常翔啓光学園)〉
〈青谷貴文(石見智翠館)〉
〈松本拓也(大商大付属)〉
〈森川敏行(大商大付属)〉
〈西田鉄平(伏見工業)〉
〈前中良太(向陽)〉
卒部式でも語った、眞野前主将の言葉。「大西先生を胴上げしたい」。ずっと言い続けた言葉に、また胸が熱くなった。この言葉は、後輩たちの心にも届いている。
卒部おめでとう!春から、眞野組23人はそれぞれの道へ。新たなステージでも「赤紺」を胸に、大きく羽ばたいてください!
『前者の戯言』ラグビーシリーズ⑮
〈眞野組、卒部おめでとう!〉
涙が似合う、男たち。「眞野組」は、そんなイメージだ。
昨季は、開幕試合で同志社に31-33と、2点差の惜敗。ラストプレーでの逆転負け。夏の菅平合宿から…いや、新チーム結成から。あの試合に男たちは全てを懸けていた。
記憶を辿る。9月25日の宝ヶ池球技場。ロッカールームから出てくる23人の表情が忘れられない。悔し涙があった。だが、負けても前を向く。それが男たちの使命であり、スポーツの醍醐味だから。
純粋に思う。「赤紺」の心に火をつけるのは、いつの時代もライバル同志社だ。激しい意地のぶつかり合い。だからこそなのだろうか、同志社戦は観客が倍増する。
「赤紺」と「紺グレ」の熱い闘いを現地で感じ、元気をもらえるのだろう。勝って喜ぶのは当然のこと、負けても懸命な姿に勇気がもらえる。それは、どの世界を探しても到底見つからない「ひたむきさ」があるからだ。
天理大にも敗れ、連敗スタート。嫌なムードが漂った。
それでも前だけを見る。「ここから全部勝てば、大学選手権には出られる。そこで、もう一度、自分たちの信じてきたラグビーを見てもらいたい」副主将のFL李智栄が胸を張って言い放った。
この時点では0勝2敗。もし、次に一つでも負ければ大学選手権出場すら怪しい状況になる。それでも、前しか見ていなかった。芯の強い選手たちだ。ケガを恐れず、壮烈なタックルで挑む。
笑顔でインタビューに応じた最後「試合中、負けるなんて一度も思ってプレーしたことありません。最後の1秒まで」と、きりっと真剣な眼差しで語った。不安なんて、そんなもの、この男にはなかったのだった。
そこから破竹の5連勝で、大学選手権出場の切符を勝ち取る。有言実行を果たしたフィフティーン。似合わない言葉がないぐらいに格好よかった。
「好きだからこそ頑張れる」。FB森田が、よく口にした言葉。半年間留学した、NZからの贈り物は「ラグビー愛」だった。誰もが心からラグビーを楽しめる環境。今でも思い出すという。
迎えた大学選手権。相手は過去6戦全敗だった明治大学。前半にミスが重なり、あっさりと失点。0ー12となったときは、見ているだけの自分だが素直に焦った。
だけど、ここからが違った。モールを形成して押し込んでいき、自分たちの形で1トライを返す。7-12になったとき「根拠のない自信」が舞い降りてきた。「勝つ」と心が自然に思っていた。
歴史に残る。だからこそ、写真に残さなくては。そう考えて構えていると、赤紺たちがパスとランでフェーズを重ねてきた。レンズ越しに段々と大きく見えてくる。
80mを激走。坂本英人のトライシーンでは、ズームが要らなかった。伊藤鐘平のタックルで奪ったボール。拾った瞬間から、連写を開始した。
「きた!きた!あやと、きた!」周りのカメラマンさんには申し訳ないと今でも思っているが、冷静ではいられなかったのだ。本当は飛び上がりたいぐらい興奮する光景だった。
『京産大26-22明治大』
あの瞬間に生まれた「京産コール」。あの歓声は忘れもしない。
誰もが必死に涙をこらえた。だけど、溢れてくる熱いものを隠しきれない。「男は泣くもんじゃない」そんなことは大きなウソだと思わせてくれた。感情に素直になること。あの涙が教えてくれた。心が大きく動いたとき、胸を張って泣いていいんだと。
赤紺戦士も、スタンドの観客も。誰もが泣いた。負けで始まった涙。計り知れない悔しさがあっただろう。自分たちの力で「歓喜の涙」に変えた。まぎれもなく君たちは「勇者」だった。
感動をありがとう。卒部おめでとう!
《眞野組23人が4年間を振り返る》
〈眞野拓也(東海大仰星)〉
〈森田慎也(洛北)〉
〈李智栄(大阪朝鮮)〉
〈長田恒輝(洛北)〉
〈高原慎也(桂)〉
〈荒木偉孝(九州国際大付属)〉
〈細野裕一朗(京都学園)〉
〈蔡淳志(大阪朝鮮)〉
〈城間広志(大阪桐蔭)〉
〈図師裕太朗(浮羽究真館)〉
〈山本湧太(大産大附属)〉
〈山野将太朗(京都成章)〉
〈下良好純(東海大仰星)〉
〈絹川誠吾(洛北)〉
〈金将一(大阪朝鮮)〉
〈三木雄太(太成学院)〉
〈大西竜二(大産大附属)〉
〈平井暁大(常翔啓光学園)〉
〈青谷貴文(石見智翠館)〉
〈松本拓也(大商大付属)〉
〈森川敏行(大商大付属)〉
〈西田鉄平(伏見工業)〉
〈前中良太(向陽)〉
卒部式でも語った、眞野前主将の言葉。「大西先生を胴上げしたい」。ずっと言い続けた言葉に、また胸が熱くなった。この言葉は、後輩たちの心にも届いている。
卒部おめでとう!春から、眞野組23人はそれぞれの道へ。新たなステージでも「赤紺」を胸に、大きく羽ばたいてください!
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