『前者の戯言』 硬式野球シリーズ② 
 佐渡竜哉(法 4年次)
 スタンド組だって戦力!「左腕38番の特大メガホン」

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2017年3月31日。世間はプロ野球開幕を迎え、そわそわしている。
そして、明日。4月1日は京産大の所属する、関西6大学リーグの開幕戦。
大阪・南港中央野球場にて大阪経済大と相対する(12時30分開始予定)。

もう筆者は、卒業したはずなのに…。やはり気になる。
ここで、ずっと書きそびれていたエピソードを紹介したいと、ふと思った。

「わっしょい!わっしょい!わっしょい!」
威勢の良い声がスタジアムに響き渡っていた。特大サイズのメガホンが懐かしい。
その声の発信源は、佐渡竜哉。

試合で活躍する選手もいれば、スタンドで応援する部員もいる。
そんな当然なことを考えながら彼を見ていると、試合に出ることだけが勝利への貢献ではないと思った。

ここで問われているのは「音の力」。あらゆる応援は戦力なのだ。
サッカーやラグビーなどのフィールド競技は試合展開がコロコロと変わるため、一定の応援を続ける、もしくは、湧き上がるようなプレーが発生すれば、大いに盛り上がる仕組みに感じる。
それに比べ、野球というスポーツは攻守交替がはっきりと決まっているため、スタンドから声援を送りやすい。

本人は、どう思うか知らないが。スタンド応援だって立派なポジションの一つだ。
佐渡を見ると、本当にそう思う。

背番号38の左腕投手は目一杯の努力を積み重ねたが、ベンチ入りならずに4年間を終える。
だけど、佐渡は応援団長として。「音の力」を操るレギュラーとして勝利に貢献し続けた。

心に決めたことがある。「スタンドで誰よりも頑張ろう」。
右手のグラブをメガホンに持ち替え、チームの勝利を常に想い続けた。
近くで踊るチアリーダーに見惚れながらも。

カッコいいのは剛腕エース。打席のスラッガー。そう思うのは当然なのか。
誰もスタンドなんて気にしていない。果たして本当にそうだろうか。
その疑問の答えは、昨季のリーグ最終戦で明確になった。

答えを導いてくれたのは勝村監督だった。
インタビューが終わる間際、自然と語り始めた。「それと、あと1人、佐渡って言う選手がいるんです。スタンドになんですけど。4年生でチームのこと、ほんまに考えて動ける選手なんです」。

本人には失礼ながら、最後にオマケとして聞こうとした内容だった。
それを勝村監督が先に答えた。何も聞いてもないのに。それだけ、大きな存在だったのだろう。
佐渡竜哉の存在は選手の背中を押し、観る人をも楽しませたのだった。

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「野球は9人のスポーツ」。
いや、それは誤解ではないか。

役割は様々。適性なんて自分では、わからないもの。
与えられたポジションで必死に白球を追うからこそ、ロマンがある。
たとえ背番号が与えられなくても、輝く場所がきっとあるはずだ。

「野球は全員のスポーツ」。

桜もチラホラ咲いている。球春到来。その言葉が相応しい季節へ。
そんなことを考える3月31日。新しいシーズンを迎える、明日が待ち遠しくなった。