第28回関西学生対校女子駅伝競走大会が神戸しあわせの村で9月22日、行われた。1区の橋本奈津が区間賞を獲得するとその後も優勝争いを演じ、アンカー棚池穂乃香が連覇のゴールテープを切った。優勝は2年連続10回目。

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優勝した駅伝メンバー。左から安井、安田、橋本、棚池、信岡、川戸

 全17校中、全日本大学女子駅伝シード校(立命大、関西大、大院大)を除いた上位4校に入れば10月に仙台で行われる全日本大学女子駅伝に出場することが出来る。昨年の全日本大学女子駅伝では10位に沈みシード権を逃した京産大はこの駅伝から再スタートを切る。
鉢伏高原の3次合宿から中2日を空けて臨んだレース。通過は当たり前、あくまでも全日本を見据えたオーダーを組んだ。
スターターには学生個人選手権1500㍍覇者の橋本奈津を置き、3区に学生個人選手権3000㍍障害3位の信岡桃英、5区に昨年の全日本大学女子駅伝4区6位の川戸希望ら実績の安定感のある3年生を配置。2区と4区には稲原敏弘監督が以前から起用を考えていた安田萌加と安井佳苗のルーキーコンビ。最終6区には大エースの棚池穂乃香(4年)。万が一の事態が発生しても巻き返せるよう要所に主力級を並べた。

 1区の橋本は中間地点まで集団の先頭を走っていたが、徐々に疲れが見え始めて立命館大に抜かれて2位に後退。中継所ラスト300㍍地点では3秒ほどの差が開いていたが、短距離のような圧巻のラストスパートをかけてトップでタスキをつないだ。
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橋本(左)が区間賞の走りでトップ

 首位でタスキを受けた安田は勢いよく飛び出した。しばらく立命館大と並走をしていたが小気味いいピッチで引き離しにかかり、8秒差にリードを広げた。
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安田(左)も首位を守った

 各校のエースが集う3区では故障から復調段階の信岡が逆転を許したが、後続との差はしっかり広げて単独2位。出場権を狙うという意味では完全に安全圏に入った。
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後続との差を引き離した信岡

 立命館大の独走にまったをかけたのは4区の安井。3.3㌔で立命館大に追いつくと、前に出る積極性を見せた。ラストは前半のオーバーペースがたたり少し差を広げられたが、区間賞の走りでチームに勢いを再びもたらした。
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安井が大学初駅伝で区間賞獲得

繋ぎ区間の5区は2年連続で川戸が起用された。前との差を詰めたいところだったが、やや開いて23秒差。それでも堅実に走ってほしいという意図の起用にはしっかりと答え役割を果たした。
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川戸(左)前との差が見える位置でタスキを渡した

アンカーの棚池にとって23秒は逆転圏内だった。3.3㌔で追いつくとその後は自分の走りを貫くのみ。終わってみれば2位の立命館大に26秒の差をつけて、人生で初のゴールテープを切った。
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ゴールテープを切った棚池

昨年はこの大会がピークになってしまったがゆえに本戦では涙を流した。同じ轍は踏まない。細やかな調整を入れつつ本戦で実力発揮を目指す。白のタスキが今年も全日本の舞台に乗り込む。

1区(3.9㌔)橋本奈津(3年) 12分36秒 区間1位 通過1位
2区(3.3㌔)安田萌加(1年) 10分47秒 区間3位 通過1位
3区(6.5㌔)信岡桃英(3年) 21分51秒 区間2位 通過2位
4区(6.5㌔)安井佳苗(1年) 22分19秒 区間1位 通過2位
5区(3.3㌔)川戸希望(3年) 11分06秒 区間5位 通過2位
6区(6.5㌔)棚池穂乃香(4年) 21分58秒 区間1位 総合1位

コメント
稲原敏弘監督
「去年は優勝を狙いに行ったけど、今年は仕上がりも良くなくて勝てると思っていなかった。1年生二人は期待以上。もっとレース展開を磨いてもらうといいかな。夏の練習の成果が出てみんなそれなりの走りをしてくれた。1~3区はいい流れで来れたので全日本に繋がる。現状の仕上がりは7割から8割程度。ここから故障をせずに全日本に合わせていきたい。昨年よりも層は厚いから今回走らなかった選手たちが上の選手を脅かすことが出来れば底上げが進むと思う。今年はシード獲得、あわよくば3位以内を狙いたい」

橋本奈津
「12分20秒の区間記録を狙っていたから3分10秒ペースで押していこうと思っていた。区間記録を狙おうと少し考えすぎた。走り自体も1年生のときの方がよかったのかな。前半にどれだけゆとりを持つかが大事か分かった。合宿は順調に消化できた。本戦は任された区間はしっかり走る。そして昨年のリベンジをしたい」

安田萌加
「橋本さんは1位で来ると思っていた。1.6㌔くらいで相手が離れていった。トップを守ることが出来て安心している。本戦では1年生らしく積極的な走りをしたい」

信岡桃英
「故障明けから走り出し練習を積めていたけど苦しい展開になってしまった。あと1ヶ月で仕上げていきたい。去年は調整を失敗して仙台で走ることが出来なかったから、ここから上り調子にしていきたい」

安井佳苗
「初駅伝だから楽しもうと思った。先輩たちがいるからリラックスして走ることが出来た。気が付いたら2㌔で追いついていてハイペースで走っているという感じはなかった。自分で先頭に立とうと思っていたから立てなかったのは悔しい。関西インカレより成長できたけど、反省もある。本戦では2区か6区を走りたい。」

川戸希望
「個人的には悔しいところが多い。去年とタイムが変わらなかったことや、スピードがないことを痛感した。リラックスして走れたことは良かったと思う。成長を見られるところもあるけど、他の選手と比べるとまだまだ。合宿では登りをしっかり走って、下りはリラックスして、もう一度最後の登りで切り替えてやっていこうというイメージだった。練習通り出来たと思うが物足りない部分もある。もっと気持ち的にノッテいかないといけない。チームの目標としては優勝。今後も練習の成果を出して自信を持ってやっていきたい」

棚池穂乃香
「早めに追いつこうと思いながらも冷静に走れた。そんなに前と開いている感じはなくて抜けると思って走った。全カレの時よりは動いたけど、まだ動ける。追う展開を想定していたから想定通り。連覇できたことは嬉しい。仙台に向けていいスタートが切れた。去年は仙台で悔しい思いをした。勝てるだろうと思っていたけどシードも逃した。今年は仙台に向けて本当に頑張っている。ミーティングでは仙台優勝しようと話している。練習の質も高くて1年生たちに走り込みで自信をつけさせた。今回チームとしても手ごたえをつかめた」

全日本大学女子駅伝は10月28日に仙台市で行われる。