劇的な展開で勝利を呼び込んだのは1年生コンビだった。関西地区大学野球選手権の敗者復活1回戦(=和歌山大学戦)が南港中央野球場で行われた。序盤からリードを許し苦しい試合展開だったが、7回に川岸の代打2点本塁打で逆転に成功。北山が3回3分の2を完璧に抑え5対4で勝利。敗者復活2回戦にコマを進めた。
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和歌山大 003 100 000 = 4
京産大  002 001 20× = 5

試合成績
1.9 山本(鳥取城北) 3打数1安打1打点
 H 9 川岸(京都成章) 1打数1安打1本塁打2打点
2.6 宇都宮(宇和島東) 4打数0安打
3.7 杉野 (近江)4打数3安打1打点
 7 間部
4.3 西元(福知山成美) 4打数1安打
5.8 田井中(福知山成美) 3打数1安打1四球
6.2 横山(龍谷大平安) 4打数1安打1打点
7.5 笹原(福知山成美) 4打数0安打
8.4 酒井(桜宮) 4打数1安打
9.1 川辺(東山)
 H 桧垣(奈良大付) 1打数0安打
 1 長谷川(桐蔭)
 H 小薗(鳥羽) 1打数0安打
 1 紀本(富岡西)
 1 北山(京都成章) 1打数1安打

先発投手 川辺 3回 4安打2四球3三振 自責点3
2番手 長谷川 2回 4安打1三振 自責点1
3番手 紀本 3分の1 1安打1四球0三振 自責点0
4番手 北山 3回3分の2 1安打2四球4三振 自責点0

試合展開
 負ければ敗退が決定してしまう大事な一戦。先発のマウンドに上がったのは川辺だった。怪我の影響が響き秋リーグは2勝にとどまったが、四回生の経験にチームを託した。2回まで安定した投球を見せていた川辺だったが、3回に自らのミスも絡む4連打を浴び3点を献上。3回でマウンドを降りてしまう。しかし、京産大打線も負けられない。3回裏、8番酒井が左前安打で塁に出ると、1死二塁として1番山本の内野ゴロを二塁手が悪送球。1点を返すと、3番杉野が右中間を破る適時二塁打を放ち1点差に詰め寄る。4回、2番手でマウンドに上がった長谷川だったが、2死二塁から適時三塁打を浴びリードを広げられる。リーグ戦を無失点に抑え続けてきた長谷川。今秋初の失点だった。流れを引き戻したい京産大だったが、4回、5回と三人で攻撃を終える回が続きなかなか波に乗れない。その中で流れを変えたのは北山の投球だった。6回、3番手の紀本の後を受け1死一・二塁の場面でマウンドに上がった北山は、後続を二人できっちり仕留めピンチを脱すると、その裏2死一・二塁で横山が左前適時打を放ち1点差に詰めよる。7回も3人で抑えた北山にその裏打席が。普段は指名打者制を採用しているためこれが大学初打席だったが、快音を響かせた打球はフェンス直撃の二塁打となりチャンスメイク。その才能を改めて感じさせた。このチャンスをものにすべく、勝村監督は今大会当たりのない山本に代えて川岸を打席に送る。スタメンで出場することの多い川岸だが、この日は指名打者制を採用していないこともあり、ベンチスタートだった。「思い切っていこうと思っていた」と初球をフルスイングした打球は、レフトスタンドに突き刺さる値千金の代打逆転2点本塁打。ナイン総出で川岸を出迎え、一気に流れを手繰り寄せた。この流れを手放さぬまま北山が8回、9回を無失点に締め試合終了。京都成章コンビの活躍で敗者復活2回戦に進出し、神宮に望みをつないだ。
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コメント
勝村監督
 「北山は打撃もいいので、ベンチからも期待していた。川岸の使うタイミングを探していた。前の打者が塁に出ていたら、山本か宇都宮のタイミングで川岸を使おうと思っていた。平山コーチの助言で山本に代打を送ろうと決めた。もともと勝負強い打者だが、よく期待に応えてくれた。川辺は自分のミスから崩れてしまったので、そこを反省してほしい。3点取られた時は厳しいとも思ったが、全員でよく踏ん張った。北山は今日も落ち着いて持ち味を発揮できていた。打線はフライを打ち上げている選手が多いので修正したい。これは大きな1勝になると思うので、明日もコンデションを整えて、一戦必勝で戦っていく。」
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横山主将
 「初対戦の相手でデータも少なく序盤は苦戦した。リーグ優勝してるだけあってなかなか得点できなかった。それでも3回表に3点を取られたあとにすぐ裏の攻撃で2点を奪えたのは良かった。
 (6回裏のタイムリーヒットについて)2-4で負けていて流れも悪かった。田井中が追い込まれながらも粘って四球でつないでくれた。流れを変えるならここしかないと。自分で決めてやろうというきもちではなく、繋いでいこうと思っていた。
 (好投の北山くんについて)ストレートで空振りが取れる投手。緊迫した場面でしか投げてないが、堂々と一年生らしく怖いもの知らず。
 今日の試合はやるべきことがやれていなかった。(やるべきこととは?)打撃面では、つなぐことができていない。今日もフライアウトが多いことは反省点。フライは取って終わりだが、ゴロは取って投げるまである。守備面では、ダブルプレーが取れる場面で取り損ねたり、ライトセンターでお見合いしたりがあった。消極的な守備になっているので、積極的にやっていきたい。」
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北山投手
 「ピンチになったら登板というリーグ戦と同じ起用法だったので、ブルペンからしっかり準備はできていた。準備できていたのでバッターを抑えられたし、気持ちも切らさずいけた。今日の内容は60点。ボールが高めに入ったり、無駄な四球を出してしまったから。
 (7回の2ベース)大学では初打席。雰囲気がよくなかったので、ここで打てたらいいなくらいの気持ちで打席に立った。来た球を振ったらいいところに飛んでくれた。(2ランHRの川岸選手について)高校から一緒にプレーし、お互いに打撃・投球フォームの違いを教えあい、アドバイスし合う仲。僕が打ったので刺激を受けてHRを打ってくれたんだと思う。助けあっている。
明日の登板も僕の立ち位置は変わらないので、しっかり休んで気持ちと体、両方を準備する。」
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川岸外野手
 「打ったのはおそらくスライダー。打ってやろうという気持ちで思い切り振っていった。フルスイングが自分の持ち味だと思っているので、初めから長打を狙っていた。イメージ通りの打球が打てた。(北山と)二人で逆転できてうれしい。
 (スタメンを外れたことについて)悔しさというのはあまりなく、切り替えていつでも行けるように5回あたりから準備していた。初めは守備からと言われていたのでそのつもりでいたが、試合の流れが変わってきたのでそれに合わせて投手を見ながら準備した。これからも厳しい戦いが続くが全員で力を合わせて、リーグ戦同様つなぎの意識をもって戦う。」

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杉野外野手
 「調子事態はリーグ戦から良かった。その調子を崩さないように調整を続けた。
 (DHがないことについて)打つだけとはリズムが違う。もともと左投げ転向までは守備もしていたので打撃のリズムがつかみやすかった。転向当初はすべてが逆になるのでステップを踏むときなどに苦労したが、今では感覚をつかんだ。
 明日からも目の前の一戦一戦を一戦必勝で戦う。」
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先発した川辺
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2番手の長谷川
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3番手で投げた紀本
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