関西Aリーグ戦を5勝2敗の3位で終え、大学選手権出場を決めているラグビー部。赤紺フィフティーンは最初の関門である16日慶應戦(12時05分・キンチョウスタジアム)に向けて、最終調整に入っている。

 今回は「赤紺の背中をさらに押そう」企画として、ラグビー部にスポットライトを当てた緊急連載を〝再開〟する。これを読めば、当日のスタジアムで感極まること間違いなし。まずは16日の慶應戦に向けて、赤紺ファンのボルテージを最高潮にまで持っていきたいところだ。残り時間は少ないが「16日はキンチョウで」を最初の合言葉に選手、スタッフ、そして大学関係者が一丸となっていけるよう、邁進していきたい。

 緊急連載の第1回は、人生を赤紺に捧げてきた大西健先生(68)の思いに触れたい。

DSC_0046


 何年、登ったことだろうか。それでも踏み出す足は止まらない。「この、きつい坂がいいんや。結構、足にくるけどな。上に登りたかったら、1歩1歩やな」。勾配のある坂道を、1歩ずつ登る。数々の歴史を生み出した神山グラウンド。左曲がりの長い坂を登り切れば、いつも楕円球が飛んでいる。

 世間は暖冬。とは言え、京都・上賀茂の夜は肌寒い。自然にあふれる白い吐息、びっしょり噴き出る汗。赤紺は「ロマン」を追い求めて走る。真冬でさえも練習着は、びちゃびちゃに濡れた状態。朝、夕の練習で、体は限界を迎えているかもしれない。それでも、まだまだ組む。

 「クラウチ、バイン、セット ! 」

 体をガシッとぶつけ合い「ヨイショ ! 」と押し込むスクラム。強いフィジカルを求めて、何度も、何度も組んでいく。練習着の両肩部分は、すでにボロボロ。京産大FW陣では、ある意味で「勲章」なのだ。

 スクラムに焦点を当てたカメラレンズを、左にまわして視野を広げると、新緑が広がる。

 今夏に張り替えられた神山グラウンドの人工芝。そこには、腕を組んでそびえ立つ男がいる。指導歴46年を迎える大西健先生(68)である。就任からリーグ降格をしたことはない。さらに関西Aリーグでは4度の優勝を遂げた。だが、大学選手権ではベスト4が最高成績。まだ日本一の冠を手にしたことはない。大学教授は70歳で退官を迎える。先生に残された時間は少ない。「あと2年やな…。なんとかして、日本一にならないとな」。グラウンドでは20代のように声を張る。選手に負けない姿を実践してみせるからこそ、選手たちがついてくる。

 何度、苦渋を味わっても、勝利しか見ていない。「目標は絶対に日本一になること。それは、ずっと変わらない。言い続けることに意味がある。監督になってから、諦めたことなんて一度もない」。信じた道を突き進む。決して信念は曲げない。早朝練習に栄養合宿…。部員を「我が子」のように可愛がり、ときには厳しく指導してきた。簡単には言葉にできない思いがある。大西先生は、人生を全て「赤紺」にかけてきた。だからこそ、絶対に夢半ばでは、終わりにはしない。

 今季はリーグ戦5勝2敗で3位。厳しく書けば〝なんとか〟大学選手権出場を勝ち取った。「『良い試合やったなぁ』じゃダメなんや。勝たないと。我々は勝つことでみんなに評価してもらえる。『京産大やりおるな』と。そう思ってもらえる試合をしていかないと」。強いだけでは意味がない。「勝利の味」を知っているからこそ、また味わいたくなるのである。

 何年掛かっても構わない。頂点に向かって一歩ずつ、着実に進んでいく。赤紺を背負う歴代選手たちに、いつも唱え続けてきた言葉がある。

 「いついかなるときも大学チャンピオンシップを目指して戦っていく」

 12月16日の慶應戦(キンチョウスタジアム)で、負けられない激戦が幕を開ける。頂上にたどり着く、その日まで―。もう、あとはない。歴代の「我が子たち」と、これ以上ない絶景を見るまで、ひたむきに前に出る覚悟を決めている。