第65回全日本学生拳法選手権大会(2020年12月6日)

12月6日、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)にて第65回全日本学生拳法選手権大会が行われた。男子・女子共に団体戦で戦い、男子は2回戦敗退、女子は3位という結果になった。

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▲3位が決まり抱き合う選手達


(試合結果)
男子団体
第1回戦 対 大阪府立大学
《相手チーム棄権のため不戦勝》

第2回戦 対 立命館大学
先鋒 野本晃洋 (営3・初段)  ●0-2
次鋒 伊丹土筆 (理4・初段)  ●1-2
三鋒 山本諒  (法4・弐段)  ●0-2
中堅 佐々木大輔(法3・初段)   ●1-2
三将 河合宝  (現4・弐段)  ○2-0
副将 松井航太 (法3・一段)  ●0-2
大将 髙橋宏樹 (法3・弐段)  ○2-0

京産大2-5立命館 2回戦敗退

女子団体
第1回戦 対 名古屋学院大学
《相手チーム棄権のため不戦勝》

第2回戦 対 大阪市立大学と大阪体育大学の勝者
《両相手チーム棄権のため不戦勝》

第3回戦 対 立命館大学
先鋒 梅村愛 (済3・一級)   ●0-2
中堅 橘つばさ(外4・弐段)   ●1-2
大将 松本繭 (法4・初段)   ●0-2

京産大0-3立命館 

3位決定戦 対 青山学院大学
先鋒 梅村  △1-1
中堅 橘   ○2-1
大将 松本  ●0-2
(引き分けのため代表者戦)
   橘   ○2-1

京産大2-1青学大(1引分) 3位決定

(試合内容)
◆男子団体◆
1回戦は不戦勝で2回戦へ駒を進めた男子チーム。最初の相手は格上の立命館大となった。先鋒の野本は粘るも一気に取られてしまい0-2で敗北。次鋒の伊丹は序盤から慎重な攻めを見せ、一本は取るも惜しくも1-2で敗れた。三鋒・山本は攻めきれず0-2、中堅・佐々木は積極的に足を中心に相手を追い込むも1-2でそれぞれ黒星をつけた。4敗した時点で京産大の敗北は確定したが、その後の三鋒の河合が胴で一本を取ったことで流れが変わる。終始優勢に戦い、2-0で勝利した。「格上の相手に初心者から始めた自分でも勝てることを(後輩に)見せられた」(河合)という、部を率いる主将としての覚悟が見られた一戦となった。副将の松井は積極的な姿勢を見せるも0-2で敗北。大将の髙橋は「ライバル視していた」という同段位・同学年の相手との対戦。得意な組み技で2つの一本を取り、2-0で勝利した。
3回戦進出はならなかったが、格上の相手と互角の戦いを展開した。「2勝はしていて、惜しい試合も2試合あった」と、髙橋は語る。「4ポイントを先取されて負けが決まってからも頑張って、最後に勝ちのポイントを持って帰ってきてくれた」(河合)。最後まで粘り強く戦い抜く姿勢はさらなる高みを目指す糧となるに違いない。
河合ら4年次生は今大会で引退を迎える。強豪撃破、そして全国ベスト8への夢はこれからの世代に託された。

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▲一本を奪いガッツポーズする河合

◆女子団体◆
女子チームは1回戦、2回戦共に相手チームの不戦勝で一気に準決勝まで進むことになった。ここまで勝ち上がってきた相手と比べて試合感をつかめておらず、「怯んでしまった」(梅村)という第1試合。終始押されがちな展開の中でも中堅の橘が一本を取り、チームを盛り立てるも結果的には0-2、1-2、0-2で敗退してしまう。
迎えた3位決定戦。先鋒の梅村から果敢に攻めてゆき、一本をとる。強敵相手に「最低限の仕事ができた」と、引き分けで次につなげた。中堅の橘は勢いをそのままに2-1で白星をつける。大将を任されることに「プレッシャーがとてもあった」と語った松本。相手に食らいつくも0-2で敗戦した。この時点で1勝1敗1分となり、3位を決める戦いは代表戦へともつれこむ。「勝たないといけない、一本をとらないとという思いでいっぱいだった」と、この大一番に挑んだ橘は振り返る。終始攻めの姿勢を崩さず戦い、2-1で勝利を収め、見事3位入賞とシード権獲得を成し遂げた。
4年次生の引退試合となった今大会。3年次生の梅村は「大好きな先輩と3位になれて嬉しい」と喜びを口にした。当の4年次生である橘は「(女子選手が少ない中でも)男子と練習できるという環境を活かし、ぜひ来年も頑張ってほしい」、松本は「男子と体格も全然違う中でも、悔しい思いを日常でしていると思うが、こんな風に結果が出ることもあるので、最後までやりつづけてほしい」と後輩たちへエールを送った。
苦しい練習や状況を乗り越え、最後につかんだ「シード権」というバトン。それは「京産らしさ」のある拳法とともに、次へと受け継がれる。

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(インタビュー)
河合宝主将
―今回の大会で、チーム全体としてどうでしたか。
このコロナ禍で、他大学は全員で練習しているところもあったが、僕らは8人という人数制限があった。道場で限られた人数しか練習できない中でも、チームの横の絆ではないが、会えるときに会ったり、地域の体育館を使って分散しての練習を行うなど工夫して頑張ってきたので、雰囲気自体はとてもよかったと思う。
トーナメント表を見たときに、立命館大に当たるということを知ったが、力的にもあちらの方が正直格上というところで、チームのみんなも思うところがあったと思うが、いざ試合をしてみると内容はやはり食い下がっていたりギリギリ負けた試合というのもあった。何より最後の最後までチームのみんなが諦めずに戦っている、4ポイントを先取されて負けが決まってからも最後まで頑張って、最後に勝ちのポイントを持って帰ってきてくれたので、そこはとてもうれしかった。

―自身の結果について、どうでしたか。
(勝利した)相手がポイントゲッターの有名選手だったので、その選手に勝てたことは個人的にうれしく思うが、それ以上に、後輩に相手が格上で初心者から始めた自分でも勝つことができるということを見せることができたので、そこが一番うれしかった。

―4年間を振り返って
最後の1年間がどうしても活動ができなかったので、後輩たちにもっといろいろしてあげたかったという点で悔いが残っている。次の主将には、後輩をもっと大事にしてあげるということをやってほしい。急遽全日本大会の開催が決まったなかでも、こうしてみんな一致団結してここまでやってこれたので、チームのみんなが僕についてきてくれたからかなと思う。

―試合が終わってみて今の気持ちはどうですか。
チームとして負けたことがとても悔しい。負けは負けなので。まだなんとも考えられませんが、後々実感がわいてくるのかなあと思いつつ。でも、コロナ禍の中で活動できなかった分、後輩には引退してからも何かしら僕は関わっていきたいというように思う。

―後輩には先輩としての背中を見せることができたということですか。
はい。最後はその分だけ見せられたかもしれないが、コロナ禍での関わり方というのはもっと関わってあげたかったところはあった。

―この4年間の経験をどのように活かそうと思っていますか。
さっきもOBの方に言われたが、競技を行っているときは正直日本拳法は役に立たないと思っていたが、この先社会に出たらここで培った武道の精神や気合い・根性などの精神論は役に立つとおっしゃっていた。何より、ここでできた仲間が社会人になってもつながりを持って一緒にやっていけると思うので、それはすごく支えになると思う。日本拳法をやっていなくても、つながりは途切れない。

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髙橋宏樹選手
―今日のプレーはいかがでしたか?
いつもは先鋒が多いんですが、今日は相手との相性を予想し大将としてでました。本当は違う相手を予想していたのですが、それが外れてしまったことは予想外でした。相手が段位も一緒の同期でライバル視していたのでやってやるぞという気持ちで挑みました。僕の時には負けが決まってしまっていたので、逆にそれが思い切ってできた要因だったと思います。

―試合前の作戦について
元々柔道をしていて組に自信があった。普段の戦いから組が中心の戦い方なんですが、(相手が)同期ということもあって大学から始めた打撃で勝ちたかった。ですがあまり決まらずに結局は組での勝負になりました。相手が来た時にカウンターで組むというのが得意でそれが上手くできたことが良かったと思います。

―今日の敗戦はどのように受け止めていますか?
2勝はしていて、惜しい試合も2試合あった。もしこの2つを取れていたら4勝3敗で勝てていたので悔しい気持ちはあります。相手の1番強い相手からキャプテンが一本取ってくれたので、そのキャプテンが抜けた後立命とやって戦えるのかという不安がある。次は自分が主将になるので、同期5人がずっと勝ち続けるということを目標に立命や(前年度敗戦の)同志社に勝って全国ベスト8以上を目指して戦っていきたいと思います。同期が強くなるのはもちろん、今年の新入生は入部が遅れてしまっているので、その子達も頑張ってもらいたいです。7人制の試合なので、同期5人以外にどうしても後輩の力が必要になってくる。その中で後輩との仲を深めて、チームが盛り上がる練習をしたいです。次の全日本は同期5人が優先ではなく強い順に出たいと思っています。

―コロナで活動に制限がありましたが、影響は感じていましたか?
練習が再開してからも人数に制限があって同時に8人しか練習できなかった。だいぶブランクがあった中での試合だったんですけどみんな結構頑張れたかなと思います。

―4回生にメッセージはありますか?
一つ上の代ということで関わりが多かった。先輩には試合に出るたびに勝負強さを感じていて、決めて欲しい時やポイントゲッターとの試合で一本取ってくれるのが自分にとって刺激的で憧れの存在です。お疲れ様でしたとありがとうございましたと伝えたいです。

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梅村愛選手
―3位入賞おめでとうございます。率直な感想を教えてください。
4回生と出る最後の大会だったので、大好きな先輩と3位になれて嬉しいです。3年間ずっと一緒にやってきたので、先輩達がいなくなると思うと重みだったりを感じます。来年も一緒にやってほしいです。

―1.2回戦は不戦勝でした。初戦が準決勝ということにやりづらさはありましたか?
相手は試合でアップができていた状態で、私達は試合の雰囲気も味わえていなかったのでそこで怯んでしまいました。

―3位決定戦が始まる前に何か先輩方と話されましたか?
(準決勝で)負けてからの3位決定戦だったので絶対勝とうということは話していました。チームとして3位決定戦に進むということが初めてだったので、勝ったら3位だという前向きな気持ちで挑めたのが良かったと思います。ベスト4に残ったということだけで今までにないことだったので、ここでしっかり勝って3位になって終わろうという気持ちで臨めました。

―3位決定戦で先鋒として出場され、一本を獲りました
正直審判が軽い技を(一本として)獲ってくれたと思いました。練習だったら先輩はとってくれない感じだったのであまり手応えはありませんでした。一本獲ってからは獲られずに終わるか、もう一本獲るかしか選択肢がないと思っていたので獲られたくはなかったんですが打ち負けてしまいました。そこは悔しかったですが、あのままもう一本獲られずに終われたのは良かったと思います。引き分け以上が自分の役割だったので最低限は務めれた思います。

―代替わりとなってしまいますが、今後はどういったチームにしていきたいですか?
来年はシードから始まってしまうので、今回の順位よりは下げたくないという気持ちで1年間やっていきたいと思います。


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橘つばさ選手
―今回の試合を振り返ってみてどうでしたか。
3人なので、2勝されてしまうとプレッシャーがすごいので、勝たなきゃという気持ちでいっぱいだった。

―3位決定戦について、どうでしたか。
最初自分が中堅で出たときは、軽い技で(一本を)とってもらったが、ちょっとやり足りないという気持ちが正直あった。代表戦で回ってきたときは、当たる相手のパターンをよく見ていたので、勝たないといけない、一本をとらないとという思いでいっぱいだった。

―チームの雰囲気はどうでしたか。
みんなで励まし合って、監督・選手も含めて「勝つぞ」という一色に染まっていたので、雰囲気としてはよかったと思う。

―後輩へどのような思いがありますか。
女子の後輩は下の子たちは1学年に1人ずつという少ない中で頑張ってくれている。京産ならではの男子に混ざって(練習が)できるという環境を活かしてぜひ来年も頑張ってほしい。

―代表戦に挑むときはどのような気持ちでしたか。
任されたから絶対に勝たないと、という思い。

―3位という順位はどうですか。
3位という結果に満足しているかと言われればしていない。相手が強かったから仕方ないこともない。うれしいがやりきった、大満足とかではない。


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松本繭選手
―大将としてどうでしたか。
プレッシャーはとてもあった。(今回の大会でも)プレッシャー負けした部分もあった。

―チーム全体の雰囲気はどうでしたか。
ギリギリまでけがをしたメンバーや途中で休部しているメンバーもいて、まとまり切れていなかった部分もあったが、最後にはみんなで練習できたし、後輩たちが先輩たちに良い結果をあげたいと思って練習に参加してくれたので、良い雰囲気だったと思う。

―今回の結果はどのように感じていますか。
チーム全体の結果には満足している。自分の個人としてはあまり役に立てなかった。個人としては悔しいが、チーム全体では仲間が誇らしい。

―後輩たちにはどのようなことを伝えたいですか。
もう私たちは練習には参加できなくなる。受け継いでほしいのは今までの練習態度など。(自分たちが)示してきたつもりではあるので、男子と体格も全然違う中でも、悔しい思いを日常でしていると思うが、こんな風に結果が出ることもあるので、最後までやりつづけてほしい。


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【取材:加藤弦・松田拓真】

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