関西六大学野球春季リーグ第3節対大経大3回戦(2021年4月20日)
なんとしても勝ちたかった一戦を落とした。中一日でエース北山が登板も初回からミスも重なり二失点。打線も最終回に意地を見せ一点を返すも、あと一本に苦しみ逆転できず。2連敗で勝ち点を落とし優勝に黄色信号が灯った。

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大経大 201 000 000 = 3
京産大 000 000 001 = 1

試合成績
1.8 遠藤(滝川第二・営3) 5打数2安打1打点1三振
2.4 酒井航(桜宮・営4) 5打数1安打1三振
3.D 材木(綾部・営3) 4打数0安打
4.9 川岸(京都成章・法4) 2打数0安打1四球1死球1三振1盗塁
5.2 久木崎(京都成章・済3) 4打数1安打2三振
6.6 川田(高知・法2) 2打数0安打1三振
6 井上(東山・営2) 0打数0安打2四球
7.5 德永(紀央館・営4) 3打数0安打
H 山本陸(奈良大附・) 1打数0安打
8.3 中村(市立和歌山・済3) 2打数0安打1三振
H 中屋(高知・国3) 1打数0安打
3 小林(愛知・営3) 1打数0安打
9.7 山本貴(鳥取城北・営4) 1打数0安打3四球1三振

先発投手 北山(京都成章・済4) 9回 139球 4安打2四球1死球13三振 自責点1失点3

試合展開
先発は中1日での登板となる北山。「昨日は張りがあったんですが、昨日の試合途中から『明日行くぞ』と言われていたので準備はできてました。今日の身体の状態は良かったです。」と万全の態勢でマウンドに上がった。しかし落とし穴は初回に潜んでいた。先頭打者に追い込んでから左前安打を許すと、自らのエラーでピンチを広げ一死2・3塁に。迎えた4番吉安にセンターの頭を超える2点タイムリーを打たれいきなりのビハインドを背負った。これが今季北山が許した初めての失点。「守りにはいっていたところがあった。自分の甘さが出てしまった」(北山)と本来の自分のピッチングができなかったことを悔いた。

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序盤のスキに付け込まれた北山

打線はあと一本に苦しんだ。3点を追う4回には先頭の酒井がエラーで出塁し一死1・2塁とチャンスを作るも久木崎、川田と連続三振に倒れ得点を奪えない。5回には一死満塁まで進めるも酒井、材木で走者を返すことができず勝村監督の語る「少ないチャンスをものにする野球」をすることができなかった。

守備のミスも目立った。2回にはショート川田が一塁へ悪送球。失点にはつながらなかったもののリズムを崩したことは否めない。続く3回には四球とワイルドピッチで二死3塁のピンチを作ると、打ち取った打球を中村がはじき追加点。この試合、計4つの失策を献上する守乱に勝村監督も「4つもエラーしていては勝てない」と呟いた。今季の内野陣はキャッチャーの久木崎、セカンドの酒井を除く3ポジションが出場経験の乏しい成長途中のメンバー。川田は昨日の試合で公式戦初安打を放つなど少しずつ経験を積んでいる最中だ。優勝のためにはミスを減らすことが必須。激しい競争の中でさらなるレベルアップを期待したい。

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ここからの活躍が期待される川田

終盤まで苦しんだ打線だったが最終回に意地を見せる。先頭の久木崎が中前にヒットを放つと、井上が四球でつないで無死1・2塁。続く代打の山本陸、8番の小林が凡退したものの山本が四球で満塁とし、リードオフマン遠藤へとつなぐ。開幕4試合で6本のヒットを放ち絶好調の遠藤は「なんとかつなごうと思った」と狙いの直球を左前へはじき返しタイムリー。2点差へと迫った。

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最終回、意地のタイムリーを放った遠藤

しかし反撃もここまで。続く酒井が三振に倒れ試合終了。2連敗で勝ち点を落とし優勝に向けて大きな重荷となる敗戦となった。だが悲観ばかりすることもない。先発の北山は後半以降立ち直り、本来のノビのある直球と新球種SFFで13個の三振を奪った。防御率0.33はリーグトップの成績だ。タイムリーを放った遠藤はこの日2安打を放ち好調をキープしている。最終回に代打で登場した期待のルーキー山本陸は凡退には終わったものの、一年生とは思えない雰囲気と堂々としたスイングで未来に期待を持てる内容だった。優勝争いから一歩後退したものの、まだまだあきらめない。チーム内の競争を活性化させここからの逆襲を狙う。【記事執筆 松田拓真、写真撮影 加藤弦・藤田稜介】


コメント
勝村監督
-初回から点の取られ方が悪かった
北山は初回だけが(もったいなかった)。昨日も相手の4番の子に初球を打たれていて、今日もボールから入るように伝えていたんですが打たれてしまった。そこが悔やまれる部分です。トータル的にはすごく緩急を使えて変化球で空振りを取れていた。腰を引かしたりということができてきたので、そういう部分が成長したところかなと思います。本来立ち上がりは悪くない投手。自分のエラーで引きずってしまった部分もあるかもしれないが、ちゃんとした配球をしていたら抑えられていたと思う。9回までほとんど球威が落ちていない。あの一球だけが悔やまれます。

-守備が乱れてしまった
4つもエラーをしてたらダメですね。1番心配していた部分。今まで試合に出てこなかった選手が出ている。昨日も初回エラーから失点しているので。守れたらもっと失点は防げているので、もう一度鍛え直します。あとはチャンスの場面でタイムリーが出なかった。相手の才木投手は緩急もつけれて良いピッチャーなのでなかなか点は取れないとは思っていた。それまでもチャンスはあったんですが、最終回にあと一本が出なかった部分ですね。

-公式戦初出場の山本選手をチャンスの場面で起用
準備はさせていましたし、前のチャンスの場面でも行かせようと考えていた(結果は徳永選手の併殺で出番なし)。初球からあれだけ振れたのでこれから楽しみです。(捕手は)競争ですし、山本はファーストも守れるので今後考えていきます。打力だけではなくポテンシャル、いい選手になる雰囲気を持っている選手。カンフル剤という面と本人に一度経験させたいと思っていたので、いいところで回ってきた中であれだけ振れたのは良かったと思います。

-中屋選手も公式戦初出場
ずっとランナーコーチもいい形でやってくれているのと、選手としてもなんとかして出たいという気持ちがすごくある。コツコツと努力をする子なので、一度こういう場面で起用しました。結果も全然悪くない。

-ここから負けられない戦いになりました
1節あくのできちんと整理をして、勝ち上がれるように頑張ります。今日の山本であったりですとか、刺激を与えて活性化しながらやっていきたいと思っています。

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北山主将
-初回、いきなりあのような形でミスもありましたが、あの回はどのような心境でしたか。
自分のフィールディングのミスもあったんですけど、結果を踏まえるとちょっと守りに入っていたというか、気持ち的な部分でちょっと(何か)あったのかな、ということがあって、後半には攻めたピッチングができたんですが、前半は消極的で自分の中でも攻めきれなかったところから相手に付け入れられる隙を作ってしまったと思います。

-焦りが生まれたということですか
落ち着いていたつもりではあったのですが、結局そこで抑えきれなかったというのはやっぱり自分の力を最大限出せていなかったのかなと思います。

-(大経大4番の)吉安選手との対戦の際には入りは気をつけていたと思うのですが、実際にあのときはどういうボールを要求されていたのですか。
打たれたボール自体はかなり高めのまっすぐで、一番警戒しないといけないバッターの場面で打ちやすいボールを投げてしまったのは自分の甘さが出てしまったのだと思います。

-今日の立ち上がりについてはどうでしたか。
結局点が取られてしまったので、0で抑えられないことには全然だめだと思うので、今日は初回から2点も取られてしまって、相手に「いい流れ」を先につくってしまったことは反省する部分だと思います。

-今日の登板は初めて中1日でしたが、どのような感じでしたか。
昨日は全身に張りがあったのですが、昨日の試合途中の段階から「明日は(先発で)行くぞ」と行っていただいていたのでしっかり汗をかいて準備をしていたので、今日の入りは身体の状態としては良かったです。

-昨日の試合中にも、「明日に試合がある」ということが分かっていたということですか。
途中で分かったので、抑えで一応準備はしていたのですが、試合展開を見てということです。

-疲労感もゼロではなかったと思うのですが、その割にはスピードも9回まで出ていました。
スタミナ面では日頃からトレーニングもやっているのはもちろんですが、あとはリズム良く生活することも体力につながると思うので、そこもリーグ戦期間中は意識して取り組んでいます。

-今回の試合をキャプテンとしてふりかえってみていかがですか。
自分自身が投げたのでなんともいえないですが、ピッチャーの僕がはじめに悪い流れを作ってしまったのが一番キャプテンとして反省するところです。後半にかけてちょっとチームに勢いがつけられるようなピッチングができたかなと思って投げてはいたのですが、そこがなかなか上手いこと噛み合うことがなかったことが残念でした。

-ここまで2試合連続完封で、自分としては幸先の良いスタートではあったと思いますが、今日に初回から2点を奪われていましたので、心理的にもダメージが大きいと思いますが、そのあたりはどうですか。
逆に打たれた方が良い意味で開き直れて、その後(初回の2失点の後)もう一回点が入ってしまったのですが、その後は今できるピッチングをしっかりしようというところで考えて、(打者)一人一人に集中して投げることができたと思います。

-三振も13個奪っていました。今日は特に変化球はどのような感じでしたか。
スプリットで三振を取ることが今日何回かあったのと、途中、5回・6回くらいからもう一度流れを引き寄せようと、まっすぐの迫力を持たせた、攻めたようなピッチングをしようと思って投げていました。

-意識的にはどのようなものですか。
バッターに自分から向かっていくような感覚で投げることを意識して、まっすぐも前半よりもっと押し込められるような感じがバッターとの対戦から感じられたり、そこでスプリットやスライダーで三振を取れたりしました。

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山本陸捕手
-公式戦初出場でした
絶対打てると思って打席に入ったので、改めて自分の力不足を感じられた部分が大きいです。6回7回あたりで一度準備しておけと言われてバットを振っていたので(チャンスの場面でも)心の準備はできてきました。力みとかはなく、先輩と代わっての打席だったのでどうにか返したい一心でした。準備はしてたつもりだったんですけど、結果が出なかったので足りなかったのだと思います。

-これからについて
技術面ではミスはダメなんですけど、誰もがこいつなら仕方ないといえるぐらい信頼を集めて、関西で1番のキャッチャーになる目標を持ってやっています。そこから一つずつレベルを上げていきたいです。キャッチャーにこだわりはありますが4年間あるので、ファーストを守らせてもらえるのであればファーストは俺のポジションやという気持ちでやります。今年は1試合でも多く試合に出たいです。

-ここからどのような活躍でチームに貢献したいですか
一つでも多くいいプレーやいいバッティングをできるように練習をするしかないので、先輩についていって追い越していけるように頑張りたいと思います。

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遠藤外野手
-今回の試合は自分の中ではいかがでしたか。
ここ2試合は初回に出塁できていたので、今日もどんな形でも出塁したかったですが、そこは出来なくて、最初から(反撃の)糸口をつかめないような感じでした。

-チーム全体で安打が少ない中でも、今日は2安打の活躍を見せました。
状態はいいと思います。僕の仕事はチャンスを作る方なので、チャンスで回ってきたらつないで、僕の後ろにいるいいバッターにつなげている感じです。

-今日の最後のタイムリーについて、どのような気持ちでしたか。
3ボールからだったので、あそこはつながないといけないところでした。次に酒井さん、材木と続いていく打線なので、一番点を取れる形になると思うので、なんとかつなげようと思った結果でした。自分の調子もいいと分かっていたので、積極的にまっすぐに絞ってしっかりと振れたので、抜けてくれたのかなと思います。

-調子が良いということですが、それについては何かありますか。
ずっと取り組んできた逆方向の打球とかが多いので、それが今の良い状態の要因でもあるのかなと思います。

-これからの試合に向けて
もう負けられないので、気持ちは「負けなし」のままでずっと行きたいです。一戦一戦、一球一球くらいの気持ちで集中して戦っていきたいと思います。

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【取材 松田拓真、加藤弦】