文部科学大臣杯第76回全日本大学対抗選手権自転車競技大会ロード(2021年8月22日)
25年ぶりの制覇で歓喜に沸いた!群馬サイクルスポーツセンターで行われたインカレロード。序盤のアクシデントにも耐え抜き、ラストスプリントを制した谷内が大学としては26年ぶりとなる優勝。インカレ総合でも3位となり自転車競技部の歴史に新たな1ページを刻んだ。

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◆競技結果◆
優勝 谷内健太(現3)
7位 上野颯斗(営2)

DNF
木下佳祐(済4)
吉田圭吾(法2)
廣中聖(済1)
石橋慧悟(法1)
瀧山月斗(法1)

男子ロード総合 2位
男子総合 3位



 「よっしゃー!」ゴールした瞬間、谷内は大きな雄たけびをあげた。チームの夢、目標だった悲願のインカレロード制覇。夢かなわなかった先人たちの想いも胸に、26年ぶりに表彰台のてっぺんに上り詰めた。「(優勝を)願っていたレースではあったので、それを実現できて嬉しいです」レース後、谷内は笑顔でそう語った。2年前、小出があと一歩のところで逃した頂点。フランス遠征の小出が不在の中、後輩が見事にリベンジを果たした。
 レース序盤はまさかの連続だった。上位進出が期待されていた吉田と廣中が2周回目落車し、吉田がDNF。次周回で廣中と滝山、続いて石橋もDNFとなり、開始早々人数的不利を背負いながら走らざるをえなくなった。「(レースの)半分になる前に3人と言われて、相手チームが逃げた時自分達が追わないといけないという状況になったので結構きつかったです」(上野)。先頭集団も形成されつつある中、残された3名はメイン集団待機を選んだ。

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悔しい途中離脱となった吉田

 レース中盤になると先頭集団の吸収と形成が繰り返される。集団をふるいにかけるため、ペースのアップダウンも頻繁に行われる中、3名は冷静に対応し足を残した。残り7周。2名が飛び出した先頭集団に上野がついていく。「少人数の逃げが完全に決まって(メイン)集団も追わないという状況になった時にいけると思った」谷内含む9名の追走が先頭集団に追いついた時、谷内は勝利の手ごたえを感じていた。残り1周。自慢のスプリント力で後続を突き放し、ゴール手前の心臓破りの坂を1番に駆け上がったのは谷内だった。後ろを振り返り勝利を確信すると、両手を高々に上げそのままフィニッシュ。26年前、秋田謙監督が優勝して以来京産大史上二人目のインカレロード制覇だ。

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ラストスプリントで勝負にでる谷内

 レースが終わった直後、谷内は7位でフィニッシュした上野と抱き合い喜び合った。前半から集団前方付近でレースを支配しつつ、後半のスプリント勝負を制した谷内は文句なしにNO.1だ。だが、自転車競技は一人の力だけで勝つことは難しい。「正直自分も勝ちたかったですが、アシストに切り替えました。谷内さんが優勝してくれて本当によかったです」(上野)。残り7周で先頭集団の飛び出しに対応し、足が釣りながらも最後の力で谷内の優勝を後押しした上野。レース中のトラブルや補給など裏から支えたサポートメンバー。すべての部員が一丸となり掴んだ優勝だった。

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レース後抱き合う谷内(右)と上野(左)

 前週のトラックで2位に沈んだ悔しさを晴らす形となった谷内は「落ち込まず悔しい思いをこの大会にぶつけられたというので意味のある(優勝)ジャージだし、もっと強くならないといけないと感じた」と気持ちを引き締めなおした。今回のレースで引退となる4年次生の木下は「4年間なんとか続けてきてよかったと思っています。谷内は来年もいるし、結果でも残してくれているので、誰かじゃなくて部全体で高めあって欲しい」とこれからの後輩たちにエールを送った。途中離脱という悔しい結果となった吉田は「チームとしては嬉しいという気持ちもありますけど、個人としては本当に悔しい」と複雑な心境を吐露した。出場7名の内6名が来年も出場することができる。それぞれがそれぞれの想いを抱き、優勝という新たな歴史を刻んだ京産大自転車競技部。連覇という新たな目標、そしてインカレ総合優勝という最大の夢に向かって新たな一歩をここから踏み出す。【記事執筆 松田拓真】

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優勝盾とともに記念撮影する自転車競技部一同


◆コメント◆
谷内選手
-優勝の率直な気持ち
(優勝を)願っていたレースではあってそれを実現できて嬉しいです。

-試合前の気持ち
日大がいろいろ仕掛けるのはわかっていたことでそれを見ながら抜け出せるタイミングがあれば自分も行こうかなという感じでいた。何個か数人の逃げができたり、結構タイムさがめちゃめちゃ広がったわけではないけど走っていたら誰かが追ってくれるのでそれを利用しながら自分も足使いながらという感じでした。

-レース中の展開について
総合順位で中央と日大が争ってて、それで中央がいったら日大も行く、日大が行ったら中央が追うみたいに中盤までやってたんですけど中央の人数が減ってきてからは日大が集団を落ち着かせるためにペース落としたり、集団を減らすためにペース上げたりとかスピードのアップダウンがあった。
自分は前に位置取りしていたので被害は少なかったがその時に後ろにいてしまうと足をつらくなると思った。

-チームとして序盤に四人落ちてしまったが
このぐらい走るだろうという想定になっていたのでそんなに問題はなかった。けどやっぱり日大の終盤の人数とかを見るとまだまだこれから下級生が多いのでまだまだあがってこれるメンバーがいるので自分が普段の練習からレースにつながる練習ができればなと思います

-優勝ジャージを着てどうですか
トラックで優勝めざしてたけど2位で負けてめちゃくちゃ悔しい思いをして今回着れたというのは落ち込まず悔しい思いをこの大会にぶつけられたというので意味のあるジャージだしもっと強くならないとと感じた。ジャージを着るからにはそれなりのレースとか態度とかしっかりしていかないといけないと思うので身を引き締めるポイントになった。

-群馬のこのコースは?
アップダウンの激しいコースで最後に上りもあるが、苦手なレイアウトではない。今回このコースで180kmから150kmぐらいに変更になってもあまり全然問題なかった。

-イメージ通りの展開だったか
少人数の逃げが完全に決まって集団も追わないという状況になった時にいけると思った。スプリントは自信があったので長所を生かした走り方で優勝できた。

-最後の少人数でのゴール前スプリントは狙っていたか?
最後の登りでちょっとアタックがあってそれを追いながら速度上げてって自分の得意なスプリントに持っていけました。

-優勝が見えたタイミング
油断はできなかったし、残り100でも下見ながら後ろ確認してようやく。確信はなかったですけど勝つ自信はありました。久々のロードレースで勝って、インカレという大舞台で勝てたというのはすごい自分の中でうれしい。トラックとかで日大とかとの差を感じて追いつけないのかなと思いながらもやるしかないから自分のベストを尽くすという意味でこのレースに臨んで良い形で終われた。

-今日に向けて取り組んだ部分
基本、自分トラック中心でやってきて、でも基本ロードの練習があって、その上で自分の短所をどう長所にしていくかというので、持久力があまりなかったのでそれをやるためにロードの乗り込みであったりメニューを自分で組んで自分で考えて練習しているのが今回の結果につながったと思う

-次の目標
正直難しいですけど延期になっている全日本選手権で実業団の選手、強い方々の中で表彰台、優勝をめざして頑張りたい。

-9月の個人ロードについて
マークというか見られると思うけど気にせずに。

-来年ラストシーズンだが
キャプテンも変わるし大会も終わっていく中で成績を出すプラス後輩の育成をしっかりしていくのが今後の京産の自転車競技部が強くなるために必要なことなのでそうゆうとこをやりつくして卒業というのが目標。

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上野選手
-今日の自分の走りを振り返って
距離が150kmで前半動くと後半の足が残らないかなと考えていました。レース前の目標として後半メインで考えていて、いけると思う逃げにのれたので上位に食い込めたかなと思ったんですけど。結果的に残り7周あたりで3人で抜けることができて、この3人でいけたらなと思っていたんですが後ろから追ってきて、後ろの集団も活性化しないことはわかっていたので(この7人で)勝負だなと思いながら走っていました。自分はスプリントがなくて谷内さんはスプリントがずば抜けているのでなんとか勝たせたいと思っていました。アシストしたかったんですが、少しはできたかもしれないですけど足が残っていなかったので、結果7位という形になりました。(残り7周で逃げに出たのは)自分のマークしている選手がいったので、これはいけるかもと思っていきました。マークしていた選手は主に日大の選手、あとはもう1人一緒に逃げた選手が2年前のインカレで上位に食い込んでいる選手だったのでいけるかなと思っていました。

-上野選手自身色んな役割がある中で、谷内選手のアシストに動いた際に意識していたことはありますか?
正直自分も勝ちたかったですが、残り2周で自分の足も攣りそうで、スプリントできる相手もたくさん残っていたのでアシストに切り替えました。具体的には谷内さんの前に行って風除けになったりです。最後に発射台をしたかったんですけど、その足が残っていなくて、いつ足が攣るかといった感じでした。結果的に谷内さんが優勝してくれて本当によかったです。

-谷内選手の優勝について、後輩として、最後までアシストしていた身としてどのように感じていますか?
谷内さんは終始ずっと集団内でも余裕を持って走っていて、これはいくなと感じていました。結果的に優勝を勝ち取って本当にすごいなと思っています。

-レースの展開として、序盤にリタイアする選手も多かった中で不安などはありましたか?
(レースの)半分になる前に3人と言われて、相手チームが逃げた時自分達が追わないといけないという状況になったので結構きつかったです。やはり人数の差は大変でした。もっと前半はゆっくりいけるかなと思っていたんですがそうも行かずという感じでした。この大会に向けて距離を乗っていたので、距離に乗る耐性はついたのかなと思います。

-今大会はロード1本に絞った中でも、準備の面ではいかがでしたか?
やはり距離に乗るということと、この周回コースでは心臓破りの坂があってそこでだいたい展開ができるので、1分のインターバルなども取り入れた中でそれらが活かされたかなと思います。

-今後にも活かされることになるであろう今大会で最も印象に残った部分は?
高校時代は入賞したことがなくて、このインカレに向けて優勝目指して頑張ってきました。結果的に(初の)入賞という形で自分の過去の成績の中で1番良いものを残せたので、次に繋げられるかなと思います。

-インカレ連覇、総合優勝に向けて今後伸ばしていきたい力は?
今回のレースで距離に乗れることがわかりました。その反面スプリントが自分に1番足りていないこともわかりました。スプリントさえあればもう少し上位に行けたかなとも思うので、スプリントの練習をしようと思います。来年ことは自分も表彰台に立っててっぺんに行きたいです。

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木下選手
-4年間の最後のレースを終えて
4年間なんとか続けてきてよかったとは思っています。でも最後はなんとかポイントだったり、最低限完走はしたかった。悔いが残ると言ったら後味は悪い感じです。

-今日のレースを振り返って
インカレ前のレースもあまり良くなくて、合宿を後輩の上野とやってきた。合宿の成果は現れたと思います。良かったところは比較的ずっと前々で動けていたこと。序盤から落車を見てきて、結構毎週回いろんな人が転けていたので、そう言った部分に注意を払って動けたことは良かったと思います。悪かったところとしては、これはダメ、これ行ってもいいという選別が上手くできていなかったところ。アタックも単発系のものが数多くあって、踏まなくてもいいところで足を使ってしまったのかなと思います。

-合宿の成果について
ロード班は僕と上野と廣中と石橋の4人でやってきた。コースを意識したメニューをこなして、ここのコースは最後に心臓破りの坂があるので、それを意識した30秒走だったりを取り入れたことで後半のアタックにも対応できたかなと思います。

-後輩へのメッセージ
谷内は来年もいるし、結果でも残してくれているので、誰かじゃなくて部全体で高めあって欲しい。今は谷内が抜けている状態やけど、そこに1人2人がついていくだけじゃなくて全体的に底上げしてくれたらもっともっと強くなると思う。あとは何より楽しく部活をやってほしい。辞めることなく、苦しいこともあると思うけどそれも4年やってみたら意外とあっという間というか色々と感じる部分があると思うので続けて欲しいです。

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吉田選手
-今日のレースを振り返って
チームとしては最高の形で終われたけど個人としてはしょうもない変速ミスでチェーンが外れてしまって想定の範囲外というか、こんなこと考えてなかったので勝負に絡む気満々だったので悔しいです。チームとしては嬉しいという気持ちもありますけど、個人としては本当に悔しい。

-目標は?
入賞を狙ってました。不完全燃焼です。

-試合前、試合中の手応え
体も動いてて、呼吸のタイミングとかも順調にいけるように考えてたので予想もしない結果、順調にいっていた分悔しい。

-落車に関して
後ろのギアを変えてる瞬間に道が荒れてて、ボンって跳ねた時に空転してしまって廣中を巻き込んでしまったのが悔しいです。

-これからについて
とりあえず次の個人ロードに向けて調子上げていって良いパフォーマス出せるようにするだけです。

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石橋選手
-今日のレース振り返って
完全に実力不足だと思います。前の方にいないと、後ろにいるときついので、出来るだけ前にいようと前に出るので足を使ってしまった。走ってる時も前で落車が起きると追いつけなくなってしまうので、そこで追いつくほど足が残ってなかった。

-今日までの練習は?
メニューとかは考えず、淡々と同じペースで乗れるようにしていた。練習と試合は全く違った。

-今後の目標は?
体力をつける。走りもうまく走れるようにしたい。(そのためにも)レースと練習は違ってて、練習してるだけではダメなので、これからどんどんレースに出れたらいいなと思います。

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瀧山選手
-今日のレースについて
あまり周りが見えていなくて、ちょっと焦ってしまう場面が多く、最後まで走りきれなかったことについて悔いが残っています。

-あまり周りが見えていなかったというのは具体的にどのような点ですか。
ちょっと焦ってしまっていて、全員で踏めばいいところでも自分だけで踏んで、足を使ってしまっていました。周りに良いように使われていたりだとか、中途半端な位置から上がろうとして、足は使っているけど結局前に出れなくて、中盤よりやや上くらいでずっといてしまっていたので、一番インターバルがかかってきつい思いをしていたことが反省点です。

-今回は残念な結果ではあると思いますが、今回の課題点であったり、練習や試合ではどのようなことを活かしていこうと思いますか。
今回は周りが見えていなかったということと、位置取りが悪かったこと、メリハリがなくずっと苦しい思いをしていたことなので、もっと休むときにしっかり休んで、踏むときにしっかり踏むというメリハリをつけていたら、良い走りができたと思います。練習では基礎から直していって、速い巡航でもしっかり楽に走れるスピード感が必要だと思いました。

-これからの目標などはありますか。
来年のこの場でまた走らせてもらえるように、しっかりと部の中でも上位に立てるように。この冬の取り組みが大事だと思うので、ここでしっかりと怠けずに、次は自分が谷内さんのように走れるように、ということを目標にして頑張りたいと思います。
【取材 松田拓真・加藤弦、出口敬介、草薙実和】