関西六大学野球秋季リーグ第2節対神院大1回戦(2021年9月11日)
 硬式野球部の秋季リーグ戦が開幕した。5季ぶりの優勝を狙う京産大はエース北山が先発。初回に自己最速となる152キロを記録するも、甘い球を狙われ2失点。打線も好機にあと一本が出ず悔しい完封負けとなったが、山本陸ら1年次生が存在感を見せスタメン争いを過熱させた。

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京産大 000 000 000 = 0
神院大 100 100 000 = 2

試合成績
1.8 遠藤(滝川第二・営3)3打数1安打1犠打1三振
2.4 酒井航(桜宮・営4) 4打数0安打
3.D 材木(綾部・営3) 4打数2安打2盗塁
4.3 山本陸(奈良大附・法1) 4打数1安打1三振
5.2 久木崎(京都成章・済3) 4打数1安打2三振
6.5 秋里(日星・法1) 2打数0安打1三振
H 山田(網野・済3) 1打数0安打
5 徳永(紀央館・営4)
H 村山(鳥羽・済1) 1打数1安打
7.6 三宮(大分東名・法1) 3打数0安打1三振
H 川田(高知・法2) 1打数1安打
8.9 川岸(京都成章・法4) 1打数0安打1三振1四球
H 西崎(鳥羽・済1) 1打数1安打
R9 山本貴(鳥取城北・営4) 1打数0安打1三振
9.7 西峯(滋賀学園・法1) 3打数1安打1犠打

先発 北山(京都成章・済4) 6回 64球 5安打0四球1死球5奪三振 失点2自責点2
二番手 舩槻(北稜・法4) 1回 18球 0安打0四球1死球0奪三振 失点0自責点0
三番手 藤川(京都すばる・済2) 7球 0安打0四球0死球1奪三振 失点0自責点0


試合展開
 5季ぶりのリーグ制覇を狙うチームにとって厳しい船出となった。初回、先発のエース北山が初球にいきなり150㌔をマーク。3球目には自己最速となる152㌔を記録し、スタンドに詰めかけるスカウトをうならせた。しかし、久しぶりの実戦登板に力みが出たのか浮いた直球を狙われ2安打を許し1点を失う。「北山が先発なので先制できればと思っていた」と勝村監督もゲームプランの変更を余儀なくされるいきなりの失点だった。2回3回とテンポよく3人で打ち取り流れを掴んだかに見えた北山だったが4回にヒットと2塁打で追加点を失う。6回5安打2失点で降板したことに「1番は初回の失点。チームがかなり久しぶりの実戦の中で緊張している部分もあったと思うので、流れを渡してしまったというのは、投手としては全然ダメだったなと思います」と悔しさを表した。それでも150㌔台の直球と緩急を使った変化球とのコンビネーションは見る者に強烈なインパクトを与えた。コロナ禍の影響もあり調整不足な面も抱えているが、ここから試合を重ねるにつれ実践感を取り戻し、さらなる進化を期待したい。

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甘い球を痛打され悔しい表情の北山

 野手陣はあと一本が遠かった。初回の材木の左前から始まり、毎回のように安打を重ねるも得点には結びつかない。7回にはこの日公式戦初の4番に座った山本陸が反撃ののろしとなる2塁打を放つも後続が続かなかった。2点ビハインドで後がない最終回に勝村監督が仕掛ける。一死から久木崎が左前ヒットで塁に出ると代打攻勢に打って出た。この采配が的中し、代打の村山、川田が連続安打。一死満塁と一打同点の場面を作った。しかし、今日は最後までホームベースが遠かった。山本貴が三振。西峯が二ゴロに倒れ試合終了。リーグ初戦は悔しい完封負け発信となった。

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執念でレフト前に安打を放つ村山

 隔離期間もあり、実践からも離れていたナインにとって想像を超える難しさのあったゲームだった。しかし、スタメンの内4人が1年次生とフレッシュな顔ぶれがそろうなど下級生のアピールが光った一戦でもあった。「調子がいい選手が1年生に多かった。やむなくということではないし、もちろん経験を積ませたいということもある」と勝村監督は語る。スタメン出場した選手だけでなく代打で出場し安打を放った西崎など楽しみな選手も多い。「もっと1年生から活気ある若さをどんどん出していけたら、チームとしても良くなるのかなと思います」(山本陸)。対外試合から離れていただけに試合絵を重ねるにつれ成長していくしか優勝への道はない。下級生の成長がチームの底上げにつながることを期待したい。【記事執筆 松田拓真、写真撮影 加藤弦】


コメント
勝村監督
春のリーグ戦が終わって以来の久しぶりの試合でした。(勝村監督自身も最後のリーグ戦だが)いつも通り一戦一戦戦っていくことを考えています。

-北山投手のピッチングについて
1イニング目はかなり力んでいて、実戦というのもほとんどできていなかったのでどうかなと思ったんですけど、2回からは力みも取れてストレートの伸びも出てきたと思います。相手の1点目もまっすぐ狙いの場面で少しボールが高かったかなと。真っ直ぐ事態も悪くないし全体的にも悪くはなかった。初回だけが力が入っていたので、2回以降は緩急も使いながらできていたと思います。ただ(練習でも)あまり球数を投げることができていないので、球数を気にはしていました。交代も球数を意識して。北山に限らず、他のピッチャーもほとんど球数を投げれていないので、そこは考えています。

-打線について
先発が北山なので先制すればというところだったんですけど逆に先制されて、1点でも取れていれば変わっていたかもしれない。9安打ですが、1年生もたくさん出ている中で、最初は目がつけれていなかった。途中から目がついていくようになったので、明日以降にしっかり活かしたいと思います。

-実戦について
対外試合は新人戦以外何もしていない。新人戦も1.2年生のみ。あとは全くできていませんでした。全く練習ができていなかった時期も8月中旬ぐらいまであった。合計1ヶ月半ぐらい。再開後は大きな制限はなく練習できていました。

-北山投手はプロ志望届も出した。どんなシーズンを送って欲しいか
練習できなかった時期も少しありますが、崩れずにコンディションを整えてくれた。今のやれる中では十分やってくれている。

-山本選手を4番に抜擢した理由
いずれはそういう選手になって欲しいと思っているので、それでいくのであれば最初からということです。

-下級生のスタメンが多かった
調子がいい選手が1年生に多かった。やむなくということではない。もちろん経験を積ませたいということもあるし、バッティングとかを見ていてもしっかり振れているというものがあった。初打席でもついていけていたと思います。

-山本選手に対する期待は大きい
そうですね。それだけ力もありますし、どんどんそういうところ(4番)で。4番にするか5番にするか迷ったんですが、経験させるんだったら思い切っていこうということで4番にしました。

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北山主将
-自身のピッチングついて
1番は初回の失点というのは、チームがかなり久しぶりの実戦の中で緊張している部分もあったと思うので、流れを渡してしまったというのは、投手としては全然ダメだったなと思います。

-対外試合は?
チーム内では紅白戦はしたんですけど、それ以外は一切できなかったです。

-試合できない間の練習
練習したかったですけど、外に一切出れなかった状況だったので、自室でできるストレッチ、体幹、バランス系のトレーニングしかできなかったので、できる事はしました。

-久々だったが、思ったより投げられた?
試合の3週間ほど前に(練習を)再開できたんですけど、急ピッチで仕上げていくという形となって、「怪我はしないように」ということを1番にやってきて、ある程度は自分の中で作れてはいたとは思います。

-投げていての感覚は?
まっすぐはスピードが出ていたので、そこは全然悪くないのかなと。体に負担がない状態で投げれたので良かったんですけど、持ち味が空振りを獲ったりストレートで押し込んでいくスタイルだったので、そういう持ち味は出し切れなかったので、球速ほどの内容は自分では感じれなかったです。

-準備がままならなかったからこそしたことは?
全体で再開してから心掛けていたことは、「その日できる事を最大限やる」ということをかんがえていて、変に先を見据えて焦ってしまっても、怪我をしてしまったり思うようにいかないので、そうだけはならないように。今日も、試合前に「朝からできる事からやろう」と考えていました。

-変化球が多めだった
相手打者がストレート待ちで、真っ直ぐに絞って強く振ってくる印象があったので、捕手と相談しました。変化球も混ぜながら、球数のこともあったので、打たせて取るというのを必要となってくると思って投げました。

-投球のスタイルを変えたのは、2回以降捕手と話してからか?
イニングごとに、ベンチに帰ってから傾向や打者のタイプの話はしていたんですけど、久しぶりの実戦だったので、実際に投げてからフィードバックしながら(久木崎と)「つぎはどうしようか」という話をしていました。

-“実戦勘”というのは結構大変だったのではないか
さっき久木崎君と話していたんですけど、試合の中でのほうが“試合勘”というか、その場でのひらめきで出たパターンというのも、実践の中で出来上がってくるのもあるので、そういうのが今日は難しかった。

-練習できない中で、春から秋にかけて心掛けてやったこと
これといったことは言い切れないんですけど、春にかけて取り組んでいたことがリーグ戦の中で成果として出たので、何をとっても総合的な精度を高めていくことです。ストレートの質とか決め球でしっかり投げ切れる変化球、精神的な部分。すべてにおいてもっと成長していくというのがあります。

-今までの最速は?
151㌔

-プロという目標があって、試合に出られないというのは不安ではなかったか?
そうですね。コロナの影響で試合ができない大学があるので何とも言えないんですけど、試合ができている大学もあるので、そういうのを見てるとちょっと焦る気持ちもあったので、なるべく気にしないというのは心掛けていました。

-高校時代にプロ志望届を出していたが、大学でプロとの距離は縮まったか?
目に見えて分かるのは、スカウトの方が来てくれたりというのがあります。そこは今までとは違うかなと。

-先程チームが勝つことが一番といったが、(プロが)気になったりしないのか?
目に見えてはわかるんですけど、そこで気にしている間はまだまだダメだと思います。一番の目標はチームを助ける事なので、そこを目標に集中しようと思って投げています。

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材木選手
-今日の試合を振り返ってみていかがですか
ちょっと悔しさが残る試合でした。

-打線が振るわなかった中でも、2盗塁・1安打を記録されています
今日は試合の序盤から攻めていくということを意識していました。初回に(塁に)出たことは良かったのですが、盗塁で足を絡めたことに関しても良かったと思っています。

-盗塁に関しては、しっかりと自分の意思で行けたという形でしょうか
そうですね、次の塁を狙う意識で行きました。

-ヒットも出ましたが、そこに関してはいかがですか
初球から振っていくことだけを意識していたので、それが結果につながって良かったです。

-個人としての結果を見て、ご自身ではどう考えていますか
最後の2打席がすべてだと思っていて、なかなかランナーがいない中で、最後にランナー1塁のチャンスで回ってきたところでゲッツーとフライを打ってしまったので、そこで点を返すのではなく、つなぐ意識でしっかり(打席に)立つことができていれば、結果は変わっていたかなと思います。

-これから特に何を意識して練習やリーグ戦を行っていきますか
初球から思い切りいく積極性もいいんですけど、そこの状況の判断で、しっかりボールを見極める時は見極めるという冷静さを大事にしていきたいです。
起きている間はずっと調整してきましたが、今までやってきたことをそのまま続けて、「振る力」をつけていきます。

-リーグ戦への意気込みをお願いします
まだ今日は初戦で、負けてしまいましたが、勝ち点がなくなったわけではないので、しっかり明日から気持ちを切り替えて、僕が引っ張っていくという気持ちで頑張っていきます。

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山本陸選手
-今日の試合について
正直、(春以降)初めて左投手と対戦して、打てるイメージはあったが、言い訳になってしまいますが、目の慣れ方や(ボールの)軌道をもっとイメージして踏み込んでいたら、初回からいいスイングをできたのではないかなと思っています。

-神戸学院大学の森岡投手について、140㌔中盤のストレートで想像より早かったか
速かったですね。インコースをどんどん突いてこられていてスライダーもいいコースに決まっていたので、

-昨季からファーストですが守備はどうか
(久木崎)太郎さんがキャッチャーにいるので、とにかく守備でしっかり守って打撃で貢献したいと思っています。

-4番としてどうだったか
正直、期待されているということが多いので、それに応えられるようにもっともっと考えて練習しないといけないと感じました。

-先発メンバーや代打で同じ1回生がでているが
もっと1年生から活気ある若さをどんどん出していけたら、チームとしても良くなるのかなと思います。

-これからのリーグ戦に向けて
チームが勝つことがすべてなので、とにかく自分の役割を立場を考えて、自分達が悔いの残らないようプレーをして、僕自身から勝利に導きたいと思います

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【取材 松田拓真、加藤弦、玉井晃樹、藤田稜介】