第101回 関西学生サッカーリーグ(後期)
第8節 大経大戦(2023年10月25日)

今季初の連敗と厳しい状況の中、中4日で迎えた今試合。先制を許しながらも4得点を挙げ相手の追撃から逃げ切り、連敗脱出。まずはインカレ出場を掴み取った。
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【スターティングメンバー】
1 GK 山本 透衣(4年=コンサドーレ札幌U18)
16 DF 大串 昇平(3年=ガンバ大阪ユース)
5 DF 横窪 皇太(3年=金光大阪高)
4 DF 西村 翔(4年=ガンバ大阪ユース)
2 DF 西矢 慎平(4年=神戸弘陵学園高・カターレ富山内定)
6 MF 川上 陽星(4年=作陽高)
32 MF 伊藤 翼(1年=セレッソ大阪U18)
7 MF 福井 和樹(4年=ガンバ大阪ユース・SC相模原内定)
10 MF 食野 壮磨(4年=ガンバ大阪ユース・東京ヴェルディ内定)
11 MF 夏川 大和(4年=草津東高)
13 FW 中田 樹音(3年=岡山学芸館高)

【サブメンバー】
12 GK 林 憲太朗(3年=滝川第二高)
3 DF 佐藤 幸生(4年=サンフレッチェ広島ユース)
25 DF 楠瀬 海(3年=高知高)
33 DF 小野 成夢(1年=愛媛FCユース)
14 MF 城水 晃太(3年=サンフレッチェ広島ユース)
28 MF 滝口 晴斗(1年=サンフレッチェ広島ユース)
42 MF 梅原 樹(3年=大阪桐蔭高)
8 FW 中野 歩(4年=ガンバ大阪ユース)
49 FW 新川翔太(3年=長崎創成館高)

【交代】
後半28分
中野歩中田樹音
後半45分
城水晃太夏川大和
後半ロスタイム
新川翔太食野壮磨

【スコア】
前半 2-1
後半 2-2
結果 4-3

【試合内容】
2試合で5失点、今季リーグ初の連敗。勝利を積み重ねてきた中で壁にぶち当たった。首位は継続しているものの勝ち点差が縮まり、残り4試合を全勝で終えなければならない。という意気込みとともに中4日で大経大戦を迎えた。

10月下旬、少し肌寒さを感じる万博記念競技場。今季最後のナイトゲーム、チームは1試合目に行われている関関戦を見つめながらアップを進める。ピッチ内アップが始まるとスタンドに青色のユニフォームを着た京産大の選手たちの姿が。平日の18時開催、授業終わりに応援に駆けつけた。競技場周辺が夜に包まれる中、ピッチが照明に照らされる。土日開催時と同じく、いつものチャントで選手入場を迎え、西矢の掛け声で集合写真を撮影。チーム全員から気合いの入った声が響く。もう負けられない、必ず勝利を。そんな気持ちが伝わってくるキックオフ前。試合は大経大のキックから始まった。
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2試合連続、立ち上がりの失点が課題となっている京産大。今日こそと立ち上がりから積極的に自分たちのカラーを見せつける。相手の守備を受けるのではなく、自分たちの攻撃からゲームの主導権を握るため、前線の選手を中心に攻撃を組み立て襲いかかる。しかし、前半13分。左サイドからスピードに乗ってDFを突破されるとクロスを上げられる。クリアした軌道が空いたスペースに流れ、そのまま打ち込まれ失点。3戦連続で先制点を許す厳しい展開になった。だが、現在首位の京産大、焦りの色はなく冷静に試合再開を迎える。再開直後、右サイドの大串が上げたクロスボールを中田が押し込み、すぐさま同点に追いつく。中田は復帰後初ゴール、学生リーグでの得点は実に375日ぶりだった。
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同点に追いついた直後。喜びを見せるだけでなく、GKの山本も集まり真剣な表情でビッチを指差しながら話し合う姿があった。「次の失点は無しやぞ」。追いついただけ、全員が目指す勝利に向けて、再び集中してリスタートした。
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「得点感覚がある選手」と起用されたFWの勢いは止まらない。前半18分、1点目と同じく右サイドの大串を起点にチャンスが生まれる。大串から伊藤、横に繋いだボールを最後は中田が仕留め、逆転に成功。前半のうちに逆転し、後半は試合を決定するような得点を奪いにかかる。後半9分、PA右の食野からのパスを押し込み。これで3-1、中田はハットトリック達成。スタメン復帰2戦目で早速、堂々たるプレーを披露して見せた。前節のスタメン復帰戦は緊張もあり「不甲斐ないプレー」と振り返る。2年前彗星の如く現れ、ルーキーながら5得点を上げた得点への嗅覚と感覚は健在。福井から受け継がれた13番の系譜、残り3試合で得点を奪いに貢献することを誓った。
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3-1と後半立ち上がりに2点リードを奪った京産大、わずか2分後には食野ー福井のホットラインがさく裂。福井は今季9得点目、食野は12アシスト目、黄金コンビが勝利を大きく手繰り寄せるゴールを奪った。

「4-1でどちらかというとゲームをどうやって締めていくかとところで立て続けに失点してしまった」。後半頭に3点リード、あとは守備を固めて勝ち抜くだけ。そんな空気が流れる。しかし、関西1部そう簡単に勝てるリーグではない。後半25.32分、立て続けに失点。カウンターから連続で失点し、少し雲行きが怪しくなってきた。ここまでの2戦は追いついて、逆転を許して悔しい敗戦を受けてきた。「もう負けられない」1点差まで詰められ、残り時間は13分と少し。首位を継続するために、優勝へ再出発するために、希薄で相手の攻撃を跳ね返し続けた。ベンチでは全員が立ち上がりピッチに声をかけ続け、ピッチは必死に耐え凌ぐ。最後は相手がオフサイドで京産大ボールになり、スローインをすると長い笛が夜の万博記念競技場に響き渡った。後半だけで4得点が動いた激闘を制し、連敗脱出。勝ち点を41と40台に伸ばすことに成功した。
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この勝利でまずインカレ出場権を獲得した京産大。2年ぶりに全国の舞台で戦うことが決定した。しかし、「そうなん?」と選手らはインカレ出場が決まったことを試合直後には知らない様子。その背景には吉川監督の言葉がある。「今までは勝ち点の計算をしてしまったり、前試合は引き分けがいいなとか自分たちに有利になる願いをしていた部分がある。そこをもう一度自分たちに矢印を向けて。トーナメントのように今日勝って次の相手が現れるような意識で」。現在首位の京産大は他チームの試合結果には影響は受けず、全勝すれば自ずと優勝へとたどり着くことができる。自分たちにベクトルを向け、課題と向き合う。シーズン当初から話し続けてきたことが、終盤になり発揮されている。
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2連敗で関西制覇に赤信号が点り、足踏みしていた京産大。連敗を脱出したことで再び青信号に変わった。今、前を行く者はいない。自分たちがトップで走り抜くために、歴史を動かすために。次戦は今季最後の京都でライバル同志社との対戦。たけびしスタジアムは春の京都選手権決勝で同じく同志社にPK戦の末、敗戦した場所だ。悔しい記憶を歓喜の記憶へ、勝利だけを目指して次戦も京産大らしく、アグレッシブに挑む。(福田明音)

【試合後のコメント】
吉川監督
―試合を振り返って
後期入ってから簡単な試合はないという話を試合後にもして。4-1でどちらかというとゲームをどう締めていくかっていうところで立て続けに失点して。ただ、同点に追いつかれて終わるんじゃなくて4-3。3失点はしてるけど勝ち点3を取れた。2連敗のしんどい時期があった中で勝ち方はどうにしろ勝ち点3を取れたっていうのでホッとしてるっていうところです。
―事故的な失点で先制を許した後は
失点自体、選手たちには伝えてたんですけど、やることやって、対応もちゃんとしてギリギリのところまで戻して、クリアも掻き出そうとしたのがクリアしきれずに前の選手が触ってリズムが変わってしまった。やることやって事故的な失点は起こりうるっていうのは常に伝えてる。この間の体大戦みたいに簡単に足を振らしてシュート打たれてるわけではなかったので、そこはポジティブに。やることやっての失点だから大丈夫と伝えながら、前半しっかりその失点を跳ね返して2-1で返ってきたのが大きかったなと思います。
―中田選手の活躍
得点感覚はもともとある選手、これが当然のような。残りの試合でもあと4,5点くらいは取ってくれないと。びわこ戦くらいまでコンディションはしんどいかなっていうのは夏まで思ってた。残りの同志社関学関大とかフルパフォーマンス持ってくれてばいいかなと我慢して使ってた部分もあるし、本人も悔しい思いをしながら跳ね返して。もともと持ってるポテンシャルからしたらやっとだなっていう感じです。
―インカレが決定
今とにかくインカレよりもリーグ優勝よりも1戦1戦。今までは勝ち点の計算をしてしまったり、前試合引き分けがいいなとか自分たちに有利になる願いをしてた部分をもう一度自分たちに矢印を向けて。どういうチーム作りをしていきたいかをもっかい振り返って。トーナメントのように今日勝って次の相手が現れるような意識で今日のゲームはやろうっていう話をしていた。勝ち方、失点の仕方はもちろん課題はあるんですけど、勝って次につなげた。得失点差は自分たちが勝ち続ければ勝ち点は上回ってるので、得失点差よりも勝ち点3を積み上げる。そういうところで言えば大きい勝ちですね、かなり。
―京都対決に向けて
自分たちがシーズン通して積み上げてきたものの中で、盛り上げようと大学を含めて協力して創り上げてきてるものだと思う。観客が少ない中でやるより注目されてやる方が良いと思うので、そういった中で見に来てくれた人たちに自分たちが色んな感情を与えたいと思ってやってる。せっかくたくさんの人が来てくれるのであれば良い感情が与えられるように、次のゲームをしっかりアグレッシブにやっていきたいと思います。
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主将・食野壮磨選手
―今日の試合を振り返って
苦しい試合やったけどほんとに勝ててよかった、一安心っていう感じですね
―追いついた後に話してことは
3試合連続で先制されて追いついてっていう展開。この2試合は追いついて逆転されてたので、絶対そこは無しで、最悪1-1でも良いから次の失点は無しやぞっていう話は追いついた時にしました。
―失点重ねていく中の雰囲気は
4-1で正直勝負は決まったと思ったところはあった。自分たちのミスからイージーな失点をしてしまって、そこは反省しないといけないし、そういう甘さを無くしていかないと王者はつかみ取れないのでそこは修正していく必要があると思う。失点した時の心情としてもどうしても守りに入ってしまう。1点リードがあったので、もう1点取ろうよりも、少し守りに入ってしまうのはあった。けど、チャレンジした中でのミスだった(クリアで)全部蹴れってなると俺らの良さは消えると思う。だけどミスで3試合失点してるのでやるなら確実にミスしない、ミスしそうなら大きく蹴る。使い分けは必要やし、個人の特に後ろの選手は判断しないといけない。
―インカレが決定
インカレはあくまでマスト。それより優勝、俺らは優勝しか見えてない。優勝するには1試合1試合勝って行くしかない。この数試合どうしても優勝がかかった中で他チームの試合結果で俺らがどうなったら、どうなるっていうのを考えてしまっていた。だけど俺らは1試合1試合目の前の試合に勝つっていうことにフォーカスしてやっていくだけかなと思います。
―次の試合に向けて
次の試合も絶対厳しい試合になると思うけど、チーム全員でしっかり勝ち点3を取れるように。
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中田樹音選手
―3得点に絡む活躍
この前スタメンで出た時に不甲斐なさ過ぎた。何もできなかった。チームも負けてしまって良くない状況で、今回は絶対勝たなあかんし勝ちに貢献したい気持ちがあった。勝ったし点も取れたのは良かった。とりあえず勝てたこと、チームが優勝するために貢献できたのが良かったです。
―前節のスタメン復帰戦を振り返って
久しぶりすぎて緊張して。緊張したら身体が動かなかった(笑)。今日はこの前の経験してた分があったから、「あんなプレーはしたくない」と少しはましやったけど、後3試合もいいコンディションでできるように練習からやっていきたいと思います。
―インカレが決定
インカレ行くのは大前提、優勝してインカレに行くのが一番の目標。とりあえずよかったのはよかったけど、後3試合全部勝って1位でインカレに行けるようにしたいです。
―同志社戦に向けて
勝利に貢献できるように点取ったり守備でもっと強度高く、チームの勝利に貢献できるようにしたいです。
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【取材 福田明音】