第68回関西学生ウエイトリフティング選手権大会 2021年9月26日

 創部55年目にして団体戦では準優勝11回、3位11回と未だに優勝経験のない京産大。今大会は各階級の優勝そして団体戦優勝を目標として挑んだ。ウエイトリフティングは個人戦での順位が点数となり団体戦に直接影響するため、個人戦での結果は非常に大切なものになる。しかし、団体戦で優勝するための条件は厳しいものになった。団体戦の登録メンバー1名に怪我があり大会直前で棄権を余儀なくされる。団体メンバーは8人まで登録できるが、1人少ない状態であることに加えて大商大の棄権も合わせ、ライバル校の近畿大学の得点が増大する可能性が増し個人戦の結果がより重要になる試合だった。

【出場選手】
宮川佳大(2年・現代社会)
香山拓大(3年・法)
谷本朋広(3年・文化)
立花昂暉(2年・経済)
吉田 椋(4年・法)
前田大志(4年・現代社会)
西野太佑(1年・経済)
岡崎龍聖(2年・法)
柴田 陛(1年・法)
新宅陽大(2年・法)


 73㌔級では宮川、香山と次々にスナッチを成功させる。団体戦登録メンバーである谷本が110kgをあげ1位通過。クリーン&ジャークでも谷本が130kgを成功させ階級での優勝を果たした。
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▲スナッチを成功させる宮川
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▲クリーン&ジャークを成功させた香山
 81㌔級には立花が出場。スナッチ1回目の試技で115kgを成功させ1位通過と余裕を見せる。クリーン&ジャークでは3回目の試技で146gを成功させ優勝。
 89㌔級に出場したのは吉田。スナッチ3回目の試技で117kgを成功させ2位で通過すると、クリーン&ジャークでは144kgを挙げ準優勝となった。
 96㌔級には西野、前田が出場した。西野はスナッチ1回目の試技で105kgを成功、クリーン&ジャークでは130kgを挙げ3位と好成績を収める。前田はスナッチ3回目の試技で121kgの大会新記録に挑戦すると見事に成功させ、主将としての強さを見せつけた。クリーン&ジャークでも2回目の試技で149kgを挙げ優勝する。
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▲スナッチを成功させた西野
 102㌔級に出場した岡崎。同階級に出場選手がいなかったため、自分自身との戦いとなるなか、6本すべての試技を成功させトータル243gで試合を終えた。
 109㌔級に出場したのは柴田。スナッチ2回目の試技で110kgを記録し、1位で通過すると、クリーン&ジャークでは127kgを成功させ、準優勝を果たした。
 +109㌔級に出場した新宅はスナッチ2回目の試技で、126kgで1位通過、クリーン&ジャークでも2回目の試技で153kgを挙げ優勝した。
 出場した階級すべてでメダルを獲得し、メダル8つ(金5・銀2・銅1)と厳しい条件にも関わらず圧倒的な成績で120点獲得し、創部初の団体戦優勝を果たした。
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▲表彰式で撮影に応じたトロフィーを持つ前田(左)賞状を持つ吉田(右) 
 

【試技ピックアップ】
73㌔級:谷本朋広
谷本はトータル240kgを記録し優勝を果たすが「大学に入って1番悪い試合になってしまった」と振り返った。スナッチ1回目105kgの試技を成功させた谷本だったが、2回目の110kgではバーベルを後ろに落としてしまい失敗。3回目同重量を成功させスナッチを全体の1位で通過する。クリーン&ジャークでは1回目130kgの試技を失敗、同重量の2回目を成功させた。さらに5kg上げた3回目の135kgは失敗と、6本中3本の試技を失敗する納得できない試合となった。「団体戦で1位をとることを目標としていたので個人で1位をとることができたことはよかったが、個人的には悔しい」。「10月に大会があるので、自己新記録を目指したい」と語った。
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▲クリーン&ジャーク成功させた立花

81㌔級:立花昂暉
立花はスナッチ1回目の試技で115kgをマークしトップに躍り出る。2回目以降は記録に挑戦するも「体がついてこなかった」。記録更新とはならなかったが他選手を圧倒し1位通過。クリーン&ジャークでも1回目の試技でトップ記録に並び、3回目に146kgを成功させトータル261kgで優勝を果たした。優勝してもなお、「団体戦を1番に考えていたので、貢献できたのはよかったが自己ベストよりも下回ってしまった」と悔しさをにじませた立花。「腰を痛めてしまっているので、その状態でも納得のいく重量で優勝したい」と次戦への意気込みを語った。
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▲クリーン&ジャークを成功させた立花

89㌔級:吉田椋
吉田はスナッチ1回目の試技を成功させ、3回目の試技でさらに117kgを成功させ2位で通過。クリーン&ジャークでは2回目の試技で144kgを挙げこの時点で2位、優勝を目指し大会新記録である149kgに挑むが惜しくも失敗。優勝には1歩及ばず準優勝となった。「次の大会では記録を意識するよりも、気持ちで負けない試技をしたい」と気持ちを語る。
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▲クリーン&ジャークを成功させた吉田

96㌔級:前田大志
試合が始まって「自然とスイッチが入った」とスナッチ3回目の試技で121kgの大会新記録を樹立しトップの記録でクリーン&ジャークに挑む。1回目の試技を成功させライバルである関西大学の西川との一騎打ちとなった2回目の試技で149kgを成功させ競りかった。トータル270kgを挙げ優勝を果たした。「次の大会まで約1か月と時間が限られているので100%出し切れるように集中したいし、主将として周りも鼓舞していきたい。次年度につなげたい」と次戦に向けた思いを語った。
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▲スナッチを成功させた前田

【コメント】
水田監督
―目標としていた事を教えて下さい
団体戦での初優勝を目標としていました。目標を達成できましたが、試合では常に試技成功率、66.7%以上を目標としており、今大会は61.7%でした。11月のインカレに向け、原因追及、修正が必要です。

―個人戦で印象に残っている試技はありますか?
各部員全ての試技が気合の入った素晴らしい試技でしたが、特に主将前田、副将吉田の4回生両名は覇気満点の痺れる試技でした。89㌔級で先に試技を行った吉田が、結果的には個人準優勝でしたが、優勝を狙いに行った最終試技は痺れました。
その後、96㎏級に出場した前田も吉田のパワー引き継ぐかのように試技に挑み、スナッチでは大会新記録を樹立し、ライバル選手の猛追をかわし個人でも優勝する事が出来ました

―団体戦優勝について率直な思いをお願いします。
今まで団体戦準優勝11回、第3位11回で、団体戦優勝は悲願でありました。2016年には部員が2名だけとなり、部の存続も危うい状態で、団体戦など考えられない状況ではありましたが、部員たちの日々の頑張り学生部の皆さま方からのご支援、ご指導のもと、徐々に部員も増え、団体戦を戦える状況が整い、2019年12月に行われた関西学生選手権の後、2020年関西学生選手権団体優勝をチームの目標と定めました。
ただ、2020年はコロナの影響で試合が開催されず、2021年も引き続き関西学生選手権団体優勝を目標とし、目標を達成した学生達を誇りに思います。

―団体戦での勝利の要因についてどの様に考えていますか。
部員一人一人がチームの目標、各個人の目標を常に認識して共有し、日々の生活、トレーニングに取り組んでいるのですが、それを当たり前ととらえず親や家族をはじめ、学生部の方々をはじめとする学校関係者の皆さま、自分自身に関わってくださっている方達、全ての方達からの応援に常に感謝の気持ちを持って、すべての事に取り組んでいる事は大きい要因だと思います。
 また優勝は頑張った結果ではなく、狙って勝ち取るものという認識を一人一人が持っている事も要因の一つであると思います。

―今大会を通して選手の成長を感じたところはありますか?
実は今大会直前に団体得点対象者の1名が怪我等もあり、試合を棄権せざるを得ない状況になってしまいました。その上、大阪商業大学の棄権と合わせて、ライバル校となる近畿大学の獲得得点が増加する状況となり、当初の予定の戦い方では団体優勝をする事がかなり厳しい状況でした。そんな中、相手の状態を分析・把握をしながら、自分たちの戦い方を柔軟に変化させ、あらゆるパターンを予想し対処して対応する姿は頼もしかったです。
   
―全国大会では選手にどのような事を期待したいですか?
コロナ禍により2019年まで普通にやって来ていた事が出来ない状態の中で、皆の認識を一つにし、頭をフル回転させ工夫・努力し、部員全員が全ての事に感謝の気持ちを持って取り組んでいます。私はそんな彼らを誇りに思いますし、こんな思いをさせてくれる彼らに感謝しています。期待といいますか、インカレでも更に感謝の気持ちを忘れずに取り組んで欲しいです。

【試技結果】
スナッチ:クリーン&ジャーク:トータル
73㌔級
 宮川佳大  68kg:80kg:148kg
 香山拓大  80kg:100kg:180kg
〇谷本朋広 110kg:130kg:240kg 優勝🥇
81㌔級
〇立花昂暉 115kg:146kg:261kg 優勝🥇
89㌔級 
〇吉田 椋 117kg:144kg:261kg 準優勝🥈
96㌔級
〇前田大志121kg🌟:149kg:270kg 優勝🥇
 西野太佑 105kg:130kg:235kg 3位🥉
102㌔級
〇岡崎龍聖 108kg:135kg:243kg 優勝🥇
109㌔級
〇柴田 陛 110kg:127kg:237kg 準優勝🥈
+109㌔級
〇新宅陽大 126kg:153kg:279kg 優勝🥇

※〇は団体戦登録メンバー 🌟は大会新記録
【撮影,取材,記事:植田結香】