第85回関西学生対校駅伝競走大会
丹後大学駅伝
於:宮津市民体育館〜京丹後はごろも陸上競技場
(2023年11月18日)
丹後大学駅伝
於:宮津市民体育館〜京丹後はごろも陸上競技場
(2023年11月18日)
今年から新コースとなった丹後大学駅伝。今大会の優勝校は、来年度の出雲駅伝の出場権を得る。6月に行われた予選会で敗退した京産大にとって、今年の丹後駅伝は今季1番の勝負どころ。「優勝以外は負け」という強い気持ちを持ち、8選手が74.4kmを駆け抜けた。
【執筆 新川姫優】
レース結果
[総合順位]
🏆優勝 京都産業大学
3時間48分08秒
[区間記録]
1区(9.9km) 区間賞🥇 粟井 駿平③ 29:49
2区(11.8km) 区間賞🥇 小嶋 郁依斗③ 35:16
3区(5.6km) 区間2位🥈 武内 里賢② 17:25
4区(10.4km) 区間2位🥈 山口 太誉③ 32:51
5区(4.6km) 区間3位🥉 杉本 和己③ 14:05
6区(10.3km) 区間2位🥈 桒田 大樹② 31:05
7区(11.4km) 区間7位 多田 颯汰③ 36:19
8区(10.4km) 区間賞🥇 中村 光稀③ 31:18
レース展開
レースの流れを決める1区を任されたのは、昨年の同大会でも1区を走った粟井駿平(現3)。序盤は先頭集団の中央あたりで様子をうかがうも、残り1km辺りから持ち前であるラストスパートを見せ1位で襷を渡した。
今大会最長の11.8kmである2区は、小嶋郁依斗(現3)が走った。エース区間とも呼ばれるアップダウンの激しいコース。他大学も強豪選手が揃う中、単独走でリードを広げ、1位をキープし3区の武内里賢(現2)へと繋いだ。
3区は5.6kmとスピード重視のコース。「1区と2区の流れを崩さないように意識した」と話す武内は、区間賞まであと3秒という好タイムで走り切った。
4区は山口太誉(済3)。6月、予選会で敗退し4年次生が引退してから、駅伝主将としてチームを引っ張ってきた。「後半に伸びてくるように計算して走った」という言葉通り、優勝につながる区間2位の走りでさらに差を広げた。
▲4区・山口から5区・杉本へ襷リレー
続く5区は今大会最短区間の4.6km。丹後駅伝初挑戦となった杉本和己(現3)が担当した。「メンバーから外れた選手の気持ちも背負って走ろうという思いで臨んだ」と話す。惜しくも区間賞にはあと3秒届かなかったが、好成績で6区で待つ桒田大樹(営2)へ襷を繋いだ。
日本海の海岸線を走る6区。雹が降り強風が吹き荒れる悪天候の中、丹後駅伝初挑戦の桒田が健闘した。新体制となり副主将として1位をキープ。しかし「区間1位になれなかったのは残念」と自信を厳しく評価した。
今大会2番目に長い7区は多田颯汰(法3)が走った。各大学エース級の選手を据えているこの区間で、徐々に後方との差が迫る中、粘りの走りでアンカーの中村光稀(法3)へ襷リレー。
アンカーである8区を務めたのは、京産大が誇るダブルエースの一角・中村。日本学連選抜として全日本大学駅伝を走って以来、コンディション不良の状態が続いていたと話す。しかし、安定した走りで2位との差を広げ、区間賞を獲得。結果、京産大は1区から一度も首位を渡さず完全優勝を果たした。
今大会の結果において、京産大は来年度の出雲駅伝の出場権を掴み取った。6月には、伊勢路をかけた予選会も開催される予定だ。「次の目標は全日本に出ることと、そこで、シード権を獲得すること」と山口。チームはすでに、次の目標に向かって動き始めている。
試合後コメント
妹尾誠 監督
◯レースを振り返って
───1区と2区がしっかり流れをつくるというか、前に出てもらっていい流れになり、各区間も自分の役割をしっかり果たしてもらったので、良い駅伝だったかなと思います。
◯このオーダーになった理由は
───1区の粟井くんは去年も1区を走っているしどんなスピードにも対応できますし、2区は最長、ということで適材適所にしたつもりです。
◯山口主将の「勝つ気がない人は辞めろ」という言葉について
───6月の予選会で敗退して4回生が引退して、3回生の山口くんを中心にチームを作って行ってくれているんですけど、あと残されたのは丹後駅伝しかなかったので、それに向かって「優勝しよう」っていうチームをまとめるというか、鼓舞するというか、そういった意味でその言葉になったのだと思います。
◯箱根予選から丹後駅伝までの準備は
───箱根の予選会が終わってから、ちょっと疲れを取る必要があったのでそれをとりながら、中村・小嶋については全日本大学駅伝もあったので無理をさせたかなとは思うんですけど、予選会の経験を活かした体づくりや走りができたらなと思ってやってきました。
◯悪天候の中のレースとなったが
───5区以降結構荒れた天気の中で、杉本くんにはしっかり走ってもらったし、特に初めての駅伝だった桒田くんは特に荒れた区間だったので心配してみていたんですけど、よく走ってくれました。
◯6月には伊勢路をかけた予選会があるが、どういった期間にしていきたいか
───年内には記録会もありますし、昨日走った力をどれくらいトラックの10000mの力がついているのかなと試して。それから、関西学生ハーフもあるのでちょっと長い距離にもチャレンジしながら春のシーズンに向かっていきたいなと思います。
1区 粟井駿平(現3・奈良育英高)
◯レースを振り返って
───入学してからずっと全国駅伝の出場権を逃していたので、今年は本気で狙っていたので1位で良い流れで小嶋に繋げられて良かったです。
◯山口主将の「勝つ気がない人は辞めろ」という言葉について
───メンバー的にも今年は勝てると思っていたので、もちろん優勝目指してチームの団結力とかもよくなっていたと思います。
◯昨年に引き続き1区となったが粟井選手にとって駅伝の1区とは
───去年はちょっと悪かったかなと個人的には思っているんですけど、1区が大事というのは自分も陸上をずっとやってきて一番感じていたので、最後持ち味のスピードで後続を離せて良かったです。
◯終盤までは1位集団の中に 余力はあったか
───風も結構あったので、先頭に出ずに我慢して温存しました。
◯襷を繋ぐ小嶋選手にはどのような声かけを
───「小嶋行け!」みたいなことを言ったと思います。
◯出雲駅伝の懸かったレース 出場権を獲得したが
───3年間予選会に負けて、とりあえず出雲だけでも掴めたので、本当に嬉しいです。
◯伊勢駅伝を懸けた予選会も控える来年に向けて
───すごく良い流れで来ているので、今年こそは予選会で上位で入って全日本を決められるようにしたいです。
2区 小嶋郁依斗(現3・滋賀学園高)
◯レースを振り返って
───優勝を目指してはいたものの、本当にできるかはわからなかったので、素直に嬉しいです。
◯山口主将の「勝つ気がない人は辞めろ」という言葉について
───山口がそのように言ってくれたので、僕も腹をくくって1位しか狙わないようにしようと思っていたので、山口のお陰で腹をくくれたのは良かったと思います。
◯1区 粟井選手から単独トップで襷をもらったが
───粟井が「行け!」って言ってくれたので力になりましたね。
◯作戦は
───最初からガンガン行こうと思って、後の差はあまり気にせず、6~7㌔のところで登りがあるのでそこを耐えたらと思っていたので、そこは意識しました。
◯3区・武内選手に襷を渡す直前には大きくガッツポーズがあったが
───結構、後と差を開けている自信はあったので、武内には「頼むぞ」ということにしました。
◯出雲駅伝の懸かったレース 出場権を獲得したが
───出雲の出場権が獲れたというのはチームにとっても大きいと思うので、来年は全日本の予選会もありますけど、少しは余裕をもって取り組めるのかなと思います。
◯伊勢駅伝を懸けた予選会も控える来年に向けて
───伊勢の(関西の)枠は4枠なんですけど、もちろん4枠を狙うのではなくて1位というところしか目指さずにやっていきたいと思います。
3区 武内里賢(現2・京都外大西高)
◯レースを振り返って
───チームは、誰も外さなかったというか、安定したペースで多くの人が区間上位で繋いでくれたので、最後まで先頭を譲らず行けたと思います。
◯区間2位という個人成績について
───走っている途中は、あまり良いペースで走れている自信がなかったんですけど、終わってみて区間2位で、単独走で2位だったのでいい走りはできたのかなと思います。とりあえず、1区と2区の流れを崩さないようにということを意識していました。
◯箱根予選後、練習に変化は
───夏合宿の後から変わらず、同じ練習を淡々と余裕を持ってこなしました。
◯伊勢駅伝を懸けた予選会も控える来年に向けて
───まずは来年の全日本出場、出雲ではシード権っていう目標があると思うんですけど、今後は、自分も区間2番で1番を取れなかったという点で実力が足りてないと思うので、冬場にもっと走り込んで実力をつけていきたいです。
4区 山口太誉(済3・大阪高)
◯レースを振り返って
───6月の全日本の予選会を負けてから新体制に変わって、箱根予選を経てしっかり成長出来たことが今回の優勝に繋がったかと思います。やっぱり、出雲の出場権を獲得できたんですけど、やっぱり1番は伊勢に戻って関東の大学に勝つっというのが京産の本来あるべき姿なので、それを達成するには今回の結果に満足するのではなく、油断せずしっかり切り替えて6月の全日本の予選会に向けてやっていくって気持ちでいます。
◯区間2位という成績について
───あまりコンディションが良くなったので、向かい風も強く、やっぱり先頭で貰うと前半の選手は前半突っ込んでしまうと思うんですけど、そうならないように冷静に前半から行って最後後半伸びてくるように自分で計算して走っていたので、区間賞は取れなかったんですけどチームの優勝にはしっかり繋がる走りができたんで、来年はしっかり区間賞をとって2連覇って言うのを目標にしています。
◯「勝つ気がない人は辞めろ」という言葉について
───それを言ったのは僕で、全日本を負けた原因を考えた時にやっぱり生活面にしても競技に対しての取り組み方にしても、部員全員の本気度っていうのを全然感じれない時があって、そういった緩い中でやってるから全然結果が出ないっていうのがあったので、新体制に変わった時に自分はそこに対して徹底的にやろうと思っていたので、普段のミーティングもそうですし、試合も時も常々厳しさっていうのを求めてやってきたのが今回の優勝に繋がったかなと思います。
◯強風の影響は
───元々天気は荒れるって言うのはわかっていたので、しっかりそこは対策を色々してきたので影響はなかったです。
◯10.4㌔で特にしんどかった部分は
───最後に起伏の激しいコースがあったので、やっぱりそこで足が止まらないようにしっかり前半から抑えて入れたって言うのが後半の失速に繋がることなく最後まで走りきれたことに繋がったかなと思います。
◯伊勢駅伝を懸けた予選会も控える来年に向けて
───箱根予選を経て本気で関東との差っていうのを感じたので、そこに食らいついていくためにはまだまだやっていかないといけないと思うので、しっかり全日本に出ることがまず1つ目。そこで、全日本学生駅伝のシード権を獲得することがチームとしての次の目標なのでそこに切りかえて頑張っていきます。
5区 杉本和己(現3・滋賀学園高)
◯レースを振り返って
───個人としては、区間賞もとれずにあまりいい走りができなかったんですけど、チームのみんながいい走りをしてくれたおかげで優勝できたのでよかったです。
◯始めての丹後駅伝どういった気持ちで臨んだか
───ここまで結構メンバー争いも熾烈で、調子が上がってきている選手でも中にもメンバーから外れた選手もたくさんいて、そういった選手の気持ちを背負って走ろうという思いで走りました。
◯ 箱根予選後、練習に変化は
───5区ってことが結構直前に決まったので、個人的には長い区間に行く準備はしていたんですけど、結構直前に短い距離、と言われて。特に変わったことはせず、いつもの調整で挑みました。
◯大雨の影響は
───5区は特に風と雨が強くて体が動かなかったなという印象です。
◯伊勢駅伝を懸けた予選会も控える来年に向けて
───チームから4年生が引退されて、3年生主体でやってるんですけど、練習の雰囲気だったりがよくなってきていて、この調子で行けばもっと上を目指せると思うので、来年は出雲は決まったんですけど全日本も確実に決めて、全日本・出雲でどこまで戦えるかっていうのを目標に頑張っていきたいと思います。
▲5区・杉本から6区・桒田へ襷リレー
6区 桒田大樹(営2・神辺旭高)
◯練習で意識して取り組んだことは
───メンバー争いが熾烈でメンバーに入ることが大前提だったので、練習を外さないということや生活面では体重管理など練習に支障が出ないように。ハーフでまあまあ調子が良かったのでそれを落とさないように維持できるようなことを取り組んでました。
◯今回はどんな目標を持ち、大会に臨んだか
───個人としては区間賞。チームとしては優勝っていうというのをずっと掲げてやってきました。
◯雹や強風の影響について
───自分のコンディションは良かったんですけど、天候はとても荒れていたので、でも荒れていて厳しいのはどこの大学も一緒なので気持ちを折らないというので自分の調子を信じていました。風があって下を向いて押していくというところや、雨でとても体が冷えて腕が動かなくなってきたとかもあったんですけど、その後の区間のことを考えるとそんなの関係ないという感じで、しっかり乗せていけたので良かったです。
◯走っている時、何を意識したか
───とにかく1位は譲れなかったのでそこを維持するのと、自分のペースを落とさないようにしっかり体を動かすということを意識していました。
◯自分の走りを振り返って、良かった点と悪かった点は
───今回、前半を抑えて後半を動かすっていうプランでレースに臨んだんですけど、しっかりそれが出来て、山登りでのタイムロスっていうのを最小限に抑えて、下りでもう1回動かすというのができていたのでそこは良かったんですが、区間賞を目標にして区間1位になれなかったのは残念なところです。
◯伊勢駅伝を懸けた予選会も控える来年に向けて
───今回の優勝で出雲の権利を獲得出来たので、今回関西勢全部関東に負けてしまっていたので関東の大学1個でも多く抜かして、全日本もまだ当分出れていないのでまずは予選会で1位通過と出雲、全日本で入賞、来年の丹後駅伝は連覇っていうところです。
7区 多田颯汰(法3・京都外大西高)
◯レースを振り返って
───嬉しい気持ちなんですけど、僕自身区間として個人としてはあんまりよくなかったんですけど、チームとしては優勝できて嬉しかったです。
◯山口主将の「勝つ気がない人は辞めろ」という言葉について
───チーム全員で話し合って、妹尾監督の決めたメニューよりペースを上げたり、自分たちで行動をしていきました。
◯エース区間の1つと言われる7区を走ると決まった時の気持ちは
───緊張もあったんですけど、自信を持って。アンカーに中村っていう強い選手がいたので、絶対に一位で繋ごうという思いで走りました。
◯悪天候の影響は
───走っていて風も結構強くてレースも落ちてしまったんですけど、最後まで1位を守り抜いたって感じです。
◯出雲駅伝の懸かったレース 出場権を獲得したが
───全員で、絶対出雲を勝ち取ろうという気持ちでやって来ていたので嬉しい気持ちです。
◯伊勢駅伝を懸けた予選会も控える来年に向けて
───2年生、3年生と予選会で外してしまって悔しい気持ちがあって、来年こそは僕自身もいいタイムを出してチームとして優勝を目指して頑張っていきたいと思います。
8区 中村光稀(法3・和歌山北高)
◯レースを振り返って
───全体としては目標が達成できたということで嬉しいというよりかはホッとしたということが強いと思います。
◯山口主将の「勝つ気がない人は辞めろ」という言葉について
───僕個人としては入学時から実業団に入りたいですし、関東勢に勝ちたいという思いでやっているので。特に、僕個人に対してではないと思っていたので、周りが絞られていければという風に思っていました。
◯完全優勝を託された最後の襷 受けとったときは
───想定していた通りではあったので良かったんですけども、YouTube配信で分かるとおり体調の方が優れていませんので、途中内臓の方に(負担が)来てしまって嘔吐しかける状態でいってしまったので、もうちょっと堂々と走れたらという心残りはあります。
◯出雲駅伝の懸かったレース 出場権を獲得したが
───例年、丹後駅伝は重要にはしていたんですけども、出雲が懸かっているということで1位しか狙わないようになったと思います。
◯伊勢駅伝を懸けた予選会も控える来年に向けて
───残りの大学は予選会で出雲の1枠を獲らないといけないので、とはいえ予選会の中でも京都産業大学は1番というのを狙っているので、しっかり1番で通過して全日本の方も切符を掴みたいと思います。
▲胴上げされる中村
▲フィニッシュを待つチームメイト
▲表彰を受ける選手ら
【取材・撮影 新川姫優、亀本皐介、小玉綾菜】(一部写真提供:立命スポーツ編集局)
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