関西大学ラグビーAリーグ 第1節
同志社大戦 マッチレポート

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【スターティングメンバー】
1.乳井大士(4年=中部大春日丘)
2.李淳弘(4年=大阪朝鮮)
3.八田優太(2年=徳島城東)
4.日吉健(4年=大産大附属)
5.ソロモネ・フナキ(4年=目黒学院)
6.石橋チューカ(2年=報徳学園)
7.松永壮太朗(4年=京都工学院)
8.シオネ・ポルテレ(3年=目黒学院)
9.土永旭(4年=光泉カトリック)
10.尾崎恵大(3年=光泉カトリック)
11.福永然(2年=大阪桐蔭)
12.辻野隼大(4年=京都成章)
13.ナブラギ・エロニ(2年=大分東明)
14.堤田京太郎(4年=大阪桐蔭)
15.奈須貴大(3年=光泉カトリック)
【リザーブメンバー】
16. 福留斗生(2年=同朋高校)
17. 佐藤颯(1年=大分東明)
18.川口新太(4年=東海大仰星)
19.平野龍(3年=札幌山の手)
20.伊藤森心(2年=松山聖陵)
21.高木城治(2年=東福岡)
22.藤本凌聖(4年=朝明)
23.小林修市(3年=京都成章)

前半 41-3
後半 56-21
計  97-24


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秋の陣初戦は関西の古豪、同志社大学だ。関西制覇は最多の48回で、BKを起点としたプレースタイルが特徴。このカードは例年、順位にかかわらず接戦を繰り広げてきた。今年の春季トーナメントでは失点少なく43-7となっている。これまでの努力の成果をいかに発揮できるのか。注目が集まった。

試合前に意識して取り組んでいたのが入りの10分間。スロースターターである京産大は前半に得点を奪われることが多く、後半で突き放すという試合展開が多かった。夏合宿で改めてその課題を認識し、改善に努めてきた。しかし、試合開始から2分後に自陣22mライン付近で反則を犯し、PGを狙われる。先制を許してしまったが、ここからしっかり立て直した。前半5分には、スクラムでペナルティを奪い、ポルテレにパス。そこからゴールライン目前まで運び、展開していく。最後はロングパスを受け取った福永が、初スタメン初トライを決め逆転に成功。「悪天候な中で、繋いでくれたボールを最終的に取り切れたっていうのがよかったです」と福永。起用してくれた首脳陣の期待に応えた。このトライから京産大の流れを生み出していった。辻野キャプテンは「得点された後でもスコアとって、自分たちのプレーでどんどん上げていけたのは京産にとって成長した部分かなと思います」と振り返った。

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この試合で大きなカギを握ったのがモールだ。雨が強かった前半、7本奪ったトライのうち4本がモール。敵陣で相手がペナルティを犯すとそのチャンスをものにして、得点を重ねた。自分たちのアイデンティティであるセットプレーで相手を突き放し、FWの爆発力を見せつけた。FWの中でも一層目立っていたのがポルテレ。ボールを持つと絶対にゲインしてチャンスを作り出し、5本のトライでチームを勢いづけた。試合後「100%出し切りました」(ポルテレ)と話すように、圧倒的な活躍を見せた。開幕2日前、トンガでラグビーを教えてくれていた師匠でもある、母方のひいおじいちゃんから連絡が。少し前まで体調が良くなかった師匠は「開幕戦だけでもいいから、髪を切って試合に出てほしい」と話したという。その言葉を聞いて、師匠のためにも髪を切って試合に出場しようと決意。少しのびていた髪をさっぱり切って気持ち新たに試合に挑んだ。師匠への思いもあり、試合ではポルテレの強みを存分に発揮し勝利。最高のプレゼントになった。
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この日9番を背負ったのは4年生の土永。武器である左足のキックが冴え渡り、何度もチームに好機を生み出した。試合途中から辻野に変わってゴールキックも蹴った。「菅平合宿の明治戦以降練習していなかったんですけど、全部入って良かったです。1本目蹴った時に『今日当たる日やな』と思いました」(土永)と圧倒的なセンスを見せた。今のチームにはゲームコントロールできる選手が辻野、尾崎、奈須の3人いるという状況。「3人の動きを見ながらどういった動きをとっていくのか考えてました」(土永)と話すように、トリプルSOの強みをそれぞれ生かすパスを出した。土永のキックとパスが今後の試合でも勝利のカギを握る。

爆発的な得点力が光った中、後半のディフェンスに課題が出た。ゴールラインを背負ったモールディフェンスで反則を連発。後半に許した3トライ全てモール絡みだった。後半30分には度重なる反則によって相手にペナルティトライが与えられた。辻野キャプテンは「大きな課題はペナルティーの多さ。レベルの高い試合になっていくと、ペナルティ1つがチームが負ける原因になってしまうので、ペナルティを減らせていないというところがいちばんの課題です」と振り返った。

宿敵同大に97-24と圧倒的な点差をつけて勝利。かつて京産大は同大に勝つことを目標に掲げ、必死に努力を続けてきた。同大に勝つということは京産大にとって、今でもとても大きな意味がある。この結果について問われた廣瀬監督は「いい時もあれば悪い時もお互いありますので。 今年はこういう結果になりましたけども、来年はまだわかりませんし。引き続きいいライバルでいたいです」と話した。相手にリスペクトを持ちながら、自分たちのラグビーをする。それが京産大のポリシーだ。

日本一への道を歩み始めた京産大。どんな相手でも、自分たちらしくひたむきに。今年こそ、高い高い壁を打ち砕く。【執筆:藤田芽生】

~廣瀬監督 記者会見~
ー試合を振り返って
開幕戦ということと相手が同志社だったことからしっかりと準備をして、メンタル部分でも準備をして臨みました。前半から攻撃的にプレーしてくれて、今シーズンいいスタートが切れたなと思ってます。来週からも頑張っていきたいと思います。

ー今回の試合のポジションについて
SOには奈須もいますし、尾崎もいますし、吉本もいますし、 辻野もいますし。なので春から誰をSOにしようかという所をすごく悩みながら進んできました。今回は尾崎がSOで奈須をFBに下げて辻野がインサイドに回るという形にしました。この形の方がボールがよく動くのかなとか、エロニがうまく活用できるのかなとかっていう考え方でした。SOは4名ともみんな素晴らしいので関西リーグ戦いながら定めていきたいなと思います。石橋についてはあまり背番号を気にしないでという所です。LOもやりますし、日吉とスイッチしただけで試合中でも変わったりとかしますので今日の背番号がそうだっただけです。

ー日本代表関連の選手たちの評価
すごくいい経験をして帰ってきてくれて、練習の取り組む姿勢だとか、 トップ選手が何をやってきたのかっていうのを学んで帰ってきてくれました。それは本当にチームにもすごくいい影響を与えてくれてます。

~辻野キャプテン 記者会見~
ー試合を振り返って
初戦が同志社大学さんということで、京都産業大学にとっては歴史のある大学でライバル意識を持っていた大学なのですごい特別な思いもあったんですけど、その中でも相手をリスペクトしつつ自分達にフォーカスしようということを常に言って1週間取り組んで来ました。その結果が今日の試合のスコアやセットプレーなどの要所要所に繋がったのかなと思います。

ースタートの10分については
菅平合宿の中でスロースタートな部分が課題という認識が自分達の中にもあって、その中でフレッシュな開始10分を精度の高く、京都産業大学らしくフィジカルで圧倒しようと決めていたんですけれど、今日は最初にペナルティか3点を入れられしまったんですけど、その中でもしっかりスコアをとって自分達のプレーで前半10分からどんどん上がっていくことが出来たのは自分達のチームにとって成長した部分だと思います。後半も意識するのはもちろんなんですけど今後も最初の10分はより意識していきたいです。

ー日本代表関連の選手たちの評価
個人のレベル ももちろん上がっていますし、チームにいい影響をもたらしてくれているのもそうなんですけど、僕個人としても同世代の選手が色々な経験してるっていうところで、もっと自分も頑張らないとなっていう刺激にもなっています。

ー最初のパスをもらうのが多かったのは?
僕が一応メインキッカーとしてやってるので、エリアの兼ね合いとかで、ファーストレシーバーに入ることが多かったです。尾崎も10番ですけど、いろんなポジションができる選手なのでそこまでこだわらずに、奈須もそうですけど、10番が3人いると思ってもらえたらいいと思います。

ーゴールキッカーが変わったのは
僕が外したので土永に代わってもらいました。

ー課題は
ひとつの大きな課題はペナルティーの多さです。やっぱり、ペナルティがスコアに直結してるので、レベルの高い試合になっていくと、そのペナルティ1つがチームが負ける原因になってしまうので、そこは規律という部分でペナルティを減らせていないというところがいちばんの課題です。

~土永旭選手 インタビュー~
ー今日意識したこと
雨の状況なのでエリア取りとフィジカルに戦う、ノーペナルティを意識しました。

ーSO尾崎、ファーストレシーバーとして辻野が入ってきていた。チームの動きを見ながら誰に放るかを考えてる?
ゲームコントロールできる選手が辻野、尾崎、奈須の3人いたので、3人の動きを見ながらどういった動きをとっていくのか考えてました。

ーキッカーを途中からやったことについて
菅平合宿の明治大戦で辻野が途中交代して、高木もいなかったので僕が1本だけ蹴ったんですけど、それ以降練習もしてなかったです。今日全部入ってよかったです。辻野から今日当たってないから変わってくれと言われました。1本目キックした後に、「今日当たる日やな」と感じました。

ーキッカーが増えることはチームにとっても大きいのでは
そういう点でもオプションを増やすことに繋がっている。奈須も左利きで、エリア取りもできるので、プレッシャーが少なくなって全員蹴りやすくなっています。

ー良かった点
フィジカルで勝負して前へ出てテンポを作れていったので、前に出た分自分たちのやりやすい部分があって色んなオプションも新しいこともできてたかなと思います。一歩でも前へ出たらアタックがやりやすくなるので、フィジカルは意識できました。もっと成長できるところはあると思うので、一戦一戦戦っていきたいです。

ー10番が決まっていた方がやりやすい?
決まってた方がやりやすいですけど、色んな選手に合わせられるハーフになっていったら、色んなオプションが増えていくと思うので、その部分はあまり気にしてないです。

ー奈須や辻野で10番のタイプは変わりますか?
結構変わりますね。尾崎も結構違うタイプですが、声を出してくれたら僕もボールを放りやすいので、練習中にも意識してやっていました。

ー高校時代に尾崎とハーフ団を組んでいた?
尾崎はリザーブだったので、正スタンドが代わったら組んでたって感じです。

ー尾崎は初先発。どのように見えた?
ディフェンスは強みとしているので、前に出てプレッシャーかけてくれてて良かった。後半の最初らへんに福永へのロングパスでトライも取れていたので、成長しているなと感じます。ディフェンスで前に出ることを意識してやっていたので、SOから前へ来られたら相手も嫌だと思います。練習通りプレーできてました。

ー代表での経験を通してからの公式戦。心持ちの変化は?
代表を経験してプレーにも余裕が出てきました。日本代表で「超速ラグビー」をやったが、京産大は少しゆったりめのラグビーなので、ラックに入るスピードやラックに入ってからも考える時間が増えるので余裕を持ってプレーできました。

ー今年レベルアップしたいところ
全部のレベルを上げていきたいです。

~福永然選手 インタビュー~
ー初トライを決めて
最初は緊張していたんですけど、悪天候の中でしっかり繋いでくれたボールをチームで最初に自分が取れたっていうのは自分の中で大きかったと思います。

ーAチームで戦ってきて、自分のどういう部分が通用したなと感じますか。
自分のランニングスピードは手応えを感じましたが、ディフェンスはまだ課題かなと思います。

ーここから西も復帰してきてバックスのポジション争いも激しくなってきますが、どのように自分をアピールしたいですか。
自分が1番努力して、京産の11番を僕がつけられるように頑張りたいです。

~シオネ・ポルテレ選手 インタビュー~
ー今日の試合を振り返って
京産らしさを出してプレーすることが出来ました。それが1番よかったことです。

ー100%は出し切れたか?
はい、100%出し切りました。

ー次の試合に向けて
この1週間もう一回練習して今日の試合からもっとより良くなれるように頑張りたいです。

ー髪を切った理由は
日本に来るまでにずっとラグビーを教えてくれていた師匠が髪を切って開幕戦に出てほしいと言われたので切りました。その師匠が少し前まで体調がよくなかったので月曜日に電話をしてその時に切ってほしいと言われました。寝坊したわけではないです。