関西大学ラグビーAリーグ 第6節
関学大戦 マッチレポート

【スターティングメンバー】
1.曽根隆慎(4年=大産大附属)
2.李淳弘(4年=大阪朝鮮)
3.川口新太(4年=東海大仰星)
4.石橋チューカ(2年=報徳学園)
5.ソロモネ・フナキ(4年=目黒学院)
6.平野龍(3年=札幌山の手)
7.松永壮太朗(4年=京都工学院)
8.シオネ・ポルテレ(3年=目黒学院)
9.土永旭(4年=光泉カトリック)
10.吉本大悟(3年=東海大仰星)
11.堤田京弘(4年=熊本西)
12.藤本凌聖(4年=朝明)
13.ナブラギ・エロニ(2年=大分東明)
14.小林修市(3年=京都成章)
15.奈須貴大(3年=光泉カトリック)
【リザーブメンバー
16. 福留斗生(2年=同朋)
17. 乳井大士(4年=中部大春日)
18.八田優太(2年=徳島城東)
19.日吉健(4年=大産大附属)
20.伊藤森心(3年=松山聖陵)
21.村田大和(2年=報徳学園)
22.辻野隼大(4年=京都成章)
23.宮里快一(1年=名護)
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待っていたのは思ってもみない結末だった。関学大と対戦し、最終スコア21-45。関西大学ラグビーAリーグでは2020年の同志社戦以来の敗戦となった。選手たちにとっても入学以来初の黒星。試合後には涙をこぼす選手の姿もあった。
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前半の競り合いに耐え、後半から自分たちのペースに持ちこみ勝つというのが京産大の見立てだった。その読み通り、前半は取って取られての繰り返し。試合開始すぐに2本のトライを奪い、流れをつかんだように思えたが、関学大のモールと走るBKを止められず点差を開くことができなかった。前半終了間際に両校ともトライし、21-19でリードしたまま前半を終えるも、ボールを保持する時間も短く、流れは関学大のままだった。

勝負の後半、ここから一気に自分たちのペースに持ち込みたかったが、後半4分に外にふられたボールにディフェンスが追いつかず、スペースに走り込まれてトライを奪われ逆転を許す。そこから敵陣でプレーができ、何度もゴールラインに迫った。さらに関学大の選手が重大な反則を犯してイエローカードを出され、これ以上ないチャンスが訪れた。しかし、ラインアウトのミスやボールが繋がらない場面があり、チャンスを生かせず無得点に終わった。
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1試合通して自分たちのアイデンティティでもあるセットプレーで優位に立てないのが痛かった。スクラムを組む場面はこれまでよりも少なかったが、そのほとんどでペナルティを犯し相手に軍配が上がった。ラインアウトでも、モールで取り切れなかったり、ターンオーバーされたりと、苦しい場面が多かった。京産大エースナンバーでもある3番を背負う川口は「相手の特徴に合わせた組み方がなかなかできなかった」と振り返る。もう一度原点に立ち返り、自分たちの武器を磨く。

これまでも何度も課題として挙がっていたディフェンスが、この試合の勝敗を分けた。昨年同様『前に出るディフェンス』にこだわってきたが、アタックの悪い流れを断ち切れないままディフェンスも崩れてしまった。後半は1トライも返せないまま、4トライ献上。その全てがBKに走られて奪われたものだ。正月の明治大戦でも同じような失点の仕方をした。悪い流れの影響をもろに受けてしまう部分の改善、良くない流れを断ち切る糸口が必要だ。
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ダブルスコア以上の敗戦を喫した後、グラウンドの外で全員でハドルを組んだ。その中で、辻野キャプテンは「負けは負けやけど下を向く必要はないし、次があるからこれを真摯に受け止めて次の2週間、天理大戦に向けて前を向いていこう」とメンバーたちに声をかけた。この敗戦は「成長するいいきっかけになる」(辻野)と前向きに捉え、スタンドで応援してくれたノンメンバーたちにも「応援ありがとう!次絶対勝とう!」と伝える姿が印象的だった。関西リーグ初めての黒星、それが与えた影響は大きい。次の天理大戦、勝てば優勝。ここで下を向いている暇はない。
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試合後誰よりも悔しさをあらわにし、涙をこぼしていたのは伊藤だった。「『チームの勝利ファースト』なので、自分が良いプレーしようがチームが勝たなかったら意味がない。そういう意識が全く足りてなかったんじゃないかなと思います」(伊藤)と振り返った。誰かひとりが良いプレーをしても、チームは勝てない。『チームのために』何ができるのか考えてプレーすることはこれからさらに必要になってくる。「負けてこっから崩れるのは簡単やけど、負けてこっから立て直すのが本当の強いチームだと思うので、立て直したいと思います」(伊藤)と力強く言い切る。ここで崩れるチームではない。伊藤の言葉通り、この壁をきっと乗り越えられる。
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悔しい敗戦から2日、練習が再開された。そこにはいつも以上に念入りに関学大戦の動画を見返し、ミーティングに励むメンバーたちの姿があった。この敗戦を無駄にしない、さらに強くなるきっかけに。泣いても笑っても、あと1試合でこのチームで戦う関西リーグは終わる。関西王者であるという傲りはもうない。きっと強い京産大が帰ってきてくれる、そう信じる。
【執筆:藤田芽生】

~廣瀬監督~
ー本日の試合を振り返って
本日はどうもありがとうございました。関西学院大は非常に力のあるチームですので、厳しい試合になるだろうなと思っていました。特に前半は競るだろうなと思っていまして、本当にそのような展開になりました。後半はもう少しボールを動かしたかったのですが、やはり関西学院大の前に出るディフェンスにハマってしまって徐々にリズムを失って行った感じです。何もさせてもらえなかったというところで完敗でした。まだシーズン続きますので、次しっかり京産大らしいラグビーができるように天理大戦に臨んでいきたいと思います。

ーBKが走るチームに対するディフェンスでの対応について
ポテンシャルが高いチームとなる時はすることを想定していつもやっています。セットプレーのところで圧力をかけていきたいところはありますが、なかなか今日はそのような場面はなく、上手くプレッシャーをかけられなかったです。後はボールの保持時間を長くすることもポイントになりますが、接点で反則を繰り返したり、ボールの争奪で負けたりしたところを修正していきたいと思います。

ー次に向けてどこから修正していくのか
修正というか、「京産大らしさをもう一回」、自分たちのアイデンティティを失わずにやるだけなので。学生たちは円陣の中で『下向いてる暇ないで!時間ないで!』って言ってくれてたので、修正というかアイデンティティをさらに高められるようにやっていきたいです。

~フナキキャプテン~
ー今日の試合を振り返って
本日はどうもありがとうございました。関学は強い力を持っていたので、僕たちのやりたいことを80分上手くさせてもらえませんでした。でもまだチャンスがあるので次に向けて前を向いてやっていきます。

ー試合後の円陣でかけた言葉
関学大がリードしている時に、自分たちのラグビーができていないし、反則も多く、ディフェンスも相手のペースに合わせてるから、もう一回切り替えて次のプレーで行こうという話をしました。

ーやりたいことができなかった要因
相手のプレッシャーに負けてしまって、自分たちのアタックができなかったです。

ー今までの関学大戦と比べて今日の後半のディフェンスの印象
関学大のディフェンスはどんな試合でもプレッシャーがすごく高く強いチームなので、それに対して僕らのアタックができてなくて、ノックオンするとか相手の低く早いディフェンスに負けてしまいました。

~辻野キャプテン~
ー試合を振り返って
もっと成長するいいきっかけになったんじゃないですかね。

ー敗因は
ディフェンス。トライを取りきれるところで取りきれなかった、自分たちのミス、関学大のディフェンスに受けたところです。

ー試合後の円陣でかけた言葉
負けは負けやけど下を向く必要はないし、次があるからこれを真摯に受け止めて次の2週間、天理大戦に向けて前を向いていこうと話しました。

ー勝ったら優勝の大一番に向けて
どっかで自分たちは関西チャンピオンだっていうのがあったと思うから、優勝はただの結果であって、まずは天理大に勝つことが大事やからそこに全員意識を向けて優勝よりも目の前の試合に勝つ、そういった気持ちで臨みたいです。

~川口選手~
—試合振り返って
詰めが甘かったです。詰めが甘かったんで、やるべきことを徹底できるように、チームの雰囲気もそうですし、また1からか変えるわけではないけれど天理大戦に向けて頑張って行けたらと思います。

—スクラムで負けてしまった理由
理由としてはやっぱ相手に合わせきれなかったっていう部分ですね。自分たちがしようとしてたことは出来かけていたんですけど、その後の相手の特徴に合わせた組み方がなかなかできずに、自分たちの最後までのイメージとはまた別の形になってしまった。

—天理戦に向けての取り組みたいこと
本当に謙虚でひむきに、後がないので全力でやっていけたらなと思います。


~伊藤選手~

ー試合を終えての率直な感想
スタンドで見てるメンバー、仮想関学大をやってくれたメンバーはものすごく良い準備をしてくれて、今週1週間も良い準備できたと思ったので、試合の中で悪い流れになった時にそれを断ち切れずにずるずる引きずってしまった結果こうなったのかなと思います。

ー悪い流れを断ち切るためのカギとは
Aチーム23人全員が自分が良いプレーして満足してしまっていると思っているので、「チームの勝利ファースト」なので、自分が良いプレーしようが悪いプレーしようがチームが勝たなかったら意味がないから、そういう意識が全く足りてなかったんじゃないかなと思います。こっから崩れるチームっていっぱいあると思うんですけど、負けて関学大に教わったことを天理大戦でやるしかないので、負けてこっから崩れるのは簡単やけど、負けてこっから立て直すのが本当の強いチームだと思うので、立て直したいと思います。

ー天理大戦でどのようにやっていきたいか
優勝しか残されている道はないと思っているので、自分が先発で出るのかリザーブで出るのか分からないですけど、出たら必ず自分の仕事をやり切って、僕がどうなってもいいのでチームが最後に勝てたらそれでいいと思っているので、そのために頑張ります。


~ポルテレ選手~
—試合振り返って
やっぱり悔しいですね。

—今日の敗因は
相手のペースになってしまってそれで自分たちがやりたいことがなかなかやらしてもらえず何も出来なかったことが敗因です。

—天理戦に向けて
もっとチーム力を高めてまとまって行くことと、これで負けて終わりじゃなくて次もあるし、そして大学選手権にもなってくるのでそれに向けて最初からもう1回練習して、また頑張りたいと思います。
【取材:藤田芽生、伊藤揺梨】