
第102回 関西学生サッカーリーグ(前期) 第10節 関学大戦(2024年7月15日)
【スターティングメンバー】
GK 1 林憲太朗(4年=滝川第二高)
DF 2 楠瀬海(4年=高知高)
DF 4 小野成夢(2年=愛媛FC U-18)
DF 5 横窪皇太(4年=金光大阪高)
DF 6 大串昇平(4年=ガンバ大阪ユース)
MF 10 伊藤翼(2年=セレッソ大阪U-18)
MF 3 田代紘(2年=ヴィッセル神戸U-18)
MF 7 石原央羅(4年=サガン鳥栖U-18)
MF 23 山村朔冬(1年=帝京長岡高)
MF 8 城水晃太(4年=サンフレッチェ広島ユース)
FW 11 中田樹音(4年=岡山学芸館高)
(フォーメーション 1-4-2-3-1)
【サブメンバー】
GK 12 中村青(4年=京都橘高)
DF 33 逵村健斗(3年=三重高)
DF 25 西村想大(1年=近江高)
MF 13 滝口晴斗(2年=サンフレッチェ広島ユース)
MF 15 末谷誓梧(2年=セレッソ大阪U-18)
MF 72 皿良立輝(1年=セレッソ大阪U-18)
FW 17 妹尾颯斗(2年=サンフレッチェ広島ユース)
FW 9 菅野翔斗(4年=サンフレッチェ広島ユース)
FW 36 岩村匠馬(4年=東山高)
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【選手交代】
ハーフタイム
IN 末谷誓梧 OUT 石原央羅
IN 逵村健斗 OUT 楠瀬海
IN 菅野翔斗 OUT 城水晃太
77分
IN 皿良立輝 OUT 山村朔冬
81分
IN 妹尾颯斗 OUT 中田樹音
【スコア】
京産大1-1関学大
90+2分 得点 末谷誓梧 アシスト 妹尾颯斗
【試合内容】
ホーム3連戦の2戦目は、2位関学大を迎えての戦いとなった。薄暗く曇天模様の中、キックオフ。今日も立ち上がりに苦しんだ。いきなり背負われ、シュートを打たれると、CKを2本与える。ここは凌いだものの8分、素早いパス回しから中央を割られ、先制点を許してしまう。早めに追いつきたい京産大だが、ボールを握らせてもらえない。非保持は、中田が右、山村が左に立つ2トップ気味でDFへプレスをかけていく。後方からのロングフィードには、1トップの中田が身体を張り続け、目元を抑える場面もみられた。ルーズボールを拾った際には、左サイドの石原がスピードを活かして駆け上がるも、ボックス内でのチャンスは中々作り出せない。27分には、GK林からのフィードを中田が競り勝ちファウルを受け、FKを獲得するが、セットプレーも決定機は生み出せず。35分ごろには早くもベンチスタートの選手らがウォーミングアップを始める。前半終了間際には中田と山村の立ち位置を入れ替え、プレスを試みるも、上手く嵌めることはできず、0-1のままハーフタイムへ。
左サイドの4年生コンビに替えて、末谷と逵村を投入。城水に代わって主将・菅野を入れ、中田との2トップの形に変更。「今の選手層で言うと、思い切って替えられる」(吉川監督)と、自信を持ったハーフタイムでの3枚替え、この策が見事に的中した。関学大と言えど、体力充分の菅野のチャージに苦戦。ボールを保持すると、末谷が2、3人相手を引きつける。次第に相手陣へ攻め入る時間が増えていくとともに、雨脚が強まる。球場にモヤがかかり、雨粒も大きくなっていく。75分ごろには、視界不良かつ数メートル先への声かけもままならない状況となった。すると80分、豪雨に収まらず落雷が発生し、やむを得ず試合を中断することとなった。選手を始め、観客、スタッフら全員が避難。規定により最後の雷から20分後に試合を再開することが定められており、結果的に47分間の中断の末、再開へとこぎつけた。両チームの選手たちは大雨の中、試合再開に向けてウォーミングアップをこなし、気合いを入れ直した。「カオスな状況を作り出そう」と、選手らに伝えた指揮官。点を取るしかない京産大は、前半からスプリントし続けた中田に替え、新人戦で2ゴールと結果を残したCF妹尾を投入。さらにはCB小野が前線へ上がり、菅野を含めた3トップのような陣形にし、残り約10分間を闘うことを決意した。すると試合終了が見えかけたAT、エリア中央でボールを収めた妹尾から末谷へ。パスを受けた末谷は、縦に切り込むと、持ち替えることなく左足を振り抜いた。ボールはキーパーの頭上を超え、ネットに突き刺さり、土壇場で同点に成功。水しぶきが上がる中、大きくガッツポーズと飛び上がるお決まりのパフォーマンスをみせた末谷。この勢いで一気に逆転を狙い、攻撃の手を緩めず仕掛けていくも、残された時間は少なく、1-1の引き分けで試合終了。起死回生の同点弾を決めた末谷は、「1-1やから喜べる試合ではないのは間違いないけど、この勝ち点1っていうのは大きくなってくる」と話す。それでも大胆な策と応える選手たちの見事なパフォーマンスで意地の勝ち点1を持ち帰った。次戦は、今季2部から昇格してきた京都橘大との前期最終節。課題である立ち上がりを克服し、ホーム3連戦最終戦を白星で終えたい。
【試合後のインタビュー】
末谷誓梧選手
ー同点弾を振り返って
パワープレーで自分はセカンドボールっていうのは役割だったんで、颯斗が収めてくれて良い落としてきたんで、ほんまに決めるだけだった感じです。
ー後半から出場し、流れを変えた
自分のところはやっぱりチャンスを作らないといけないし、自分たちが保持できる時間が多い中で、自分がどれだけチャンスを作るかっていうのやったんで、そこは意識してました。
ー雷雨による中断も
ある程度時間空くのはわかってたから、しっかりリフレッシュというか集中は切らさず、体を休めて試合が始まる頃には、しっかり良い準備を作っとくっていうのは意識してます。
ー投入の際、伝えられたこと
やっぱり自分のところと両サイドのクロスっていうか、自分たちのサイドを使っていこうっていう話だったんで、自分はほんまに受けてドリブルだったり、特徴を生かしてクロスだったりっていうのは考えてました。
ー大きな引き分け
もちろん勝ちたかったし、結果見たら1-1やから喜べる試合ではないのは間違いないけど、この勝ち点1っていうのは大きくなってくると思うから、この勝負強さっていうのは、これからも自分たちがもっともっと力つけていかないといけないなって思います。
ー前期最終節の京都橘戦に向けて
相手関係なく自分たちのサッカーするだけやし、最近入りが悪いっていうのは課題やから、今週1週間ちゃんと準備して、絶対に勝てるように。落とせないゲームだと思うんで、どの試合もそうですけど、絶対に勝たないといけない相手だと思うので、いい準備していきたいと思います。

吉川監督
ー試合を振り返って
アクシデントもあったんですけど、ただ、最初の立ち上がりの10分、15分が課題。自分たちで最後の10分、あれだけパワーを持って、エネルギー持ってやれるっていうところで言うと、まだまだ外的要因で自分たちのエネルギー、パワーとか、矢印の大きさが変わってしまうみたいなところで言うと、前節も立ち上がりの15分ぐらい、ふわっとしてた状況。今日も10分、15分、そのままの空気感で前半が終わってしまったみたいな状況もあったと思うんで、よく追いついたっていう見方ももちろんできますし、最初の立ち上がりの10分どうやった?っていうところもあると思うんで、そっちにしっかりと目を向けて、前期中断前のラストのゲーム、そこはしっかり改善できるように、みんなでやっていきたいなと思います。
ーハーフタイムに3選手の交代
シーズン通してもそうやし、昨年からも含めてハーフタイムで2枚、3枚替えっていうところは、あんまりしてこなかった。上手くいってない前半があったとしても、あと15分、チャンスを与えながらというか、修正を見るっていうところが多かったんですけども、逆に今の選手層で言うと、思い切って替えられるっていうところは自信を持った部分もあるので、うまくいかなかったとしても一気にシフトしてっていうところで、待つよりもこっちから仕掛けていく。それが0-0だったら変わってたかなって思うんですけど、0-1だったので、追いつくしかないっていうところで、その時間が長ければ長いほどいいかなっていう判断で、早めに3枚交代っていう形にしました。
ー中断まで良い形を作れた後半
翔斗が入って誓梧がっていうところは、ずっと今年やり続けてたシステムでもあるし、メンツでもあるので、そこに対しての違和感は全くなく、逆に相手がストレスを感じるであろうなっていう想定ができてた。かつ良い時間帯が増えてたっていうのは間違いなかったと思うんで、たらればになるんですけど、雷がなくそのまま行ってたら逆転まで持っていけたんじゃないかなっていう思いはある中で、同点っていうところでちょっと悔しいなっていうところもあります。
ー中断中、選手らに伝えたこと
35分から7分間ぐらいは今のまま、良い流れのまま。ただ、相手ももう1回リセットしてパワー出してくる、なかなかさっきまでの良い流れは継続できないんじゃないかっていうところも含めて。ただ、7分はしっかりとやりながら、残りロスタイムも含めて8分なのか10分なのかっていうところは、成夢も上げて、スリートップ気味に、後ろ削って前に人数をかける、そこのセカンドボール拾いに行くカオスな状況を作り出そうっていうところで、1点取ったらもう2点目奪いに行くぞっていうところのプランまで持って、10分プラスαのアディショナルタイムに送り出したって感じです。
ー新人戦でも結果を残した妹尾選手がアシスト
彼がタフに逞しく新人戦ありながらもリーグ戦を控えてっていうの中で、結果を1個ずつ残してきた選手なので、自分でこのチャンスを掴んで、このチャンスを掴む。掴み続けるとおそらく出場時間が伸びていくっていうところで、また他の選手が競争で刺激を受けて、また結果を残すために頑張るみたいなところになってくると思うんで、そういう循環をなるべく色んなポジションに作り出したいなと思うので、颯斗にとっても大きな1歩だったかなと思います。
ー末谷選手が同点弾
最近、時久コーチと形は違えど、シュート練習重ねてるんで、かつ結果っていうところ。この半年リーグ戦出てた中でも、やっぱりチャンスメイクはできてるけど、結果がちょっと物足りないなっていう部分も本人あったと思うので、彼自身も結果を1個1個積み上げるっていうことが、すごくプラスになる。颯斗と一緒で大きな1歩かなと思います。
ー際どいジャッジも
悔しさもちょっと残ってるっていう状況で、僕自身も判定にっていうよりも、自分たちがリズムに乗っていけるかなっていうところで、リズムを切られるようなジャッジになってた部分もあって、なるべくプレーを続けたいなっていう思いがあったので、一瞬ですけど判定に。でもやり続けて最後までやれたことは、追いつかれて勝ち点1になってたびわこや立命とかっていうところからいうと、ポジティブな勝ち点1かなって思うので、また次につなげたいなと思います。
ー改めて大きな勝ち点1
本当にこれが最後に大きく響いてくる1かなって思うので、1個ずつ、最低1ずつ積み上げていくことはすごく大事でもありますし、ビハインド、難しいレギュレーションの中で、最後に勝ち点1に繋げたっていうことはすごく良かったと思います。
ー前期最終節に向けて
2部から昇格してきたチームってところはあんまり関係なく、しっかりと勝ち点を積んでるチームでもありますし、形っていうところも持ってると思いますので、自分たちは戦うっていうところと、あとはこの2戦の課題である立ち上がりっていうところ。そこは相手がどうであれ、自分たちがその課題を克服するっていうところはすごく大事になってくると思う。そこにしっかりと目を向けながら、1個1個時間を積み重ねながら、最後、勝ち点3をもちろん目指しながらやりたいなと思います。

【取材:細井雅貴】